2005/10/2

法律上の親子関係  憲法・社会・官僚・人権

先日、家裁だったか、高裁だったか忘れたが、
>「夫の死後の人工授精により妊娠した子につき、
>法律上の父子とすることを求めたが、認めず」
という判決例が出ましたね。

なんか以前に同様の事案で、父本人が死後の人工授精も認めているのが明白ということを理由に、法律上の父子関係を認めた判決もあったみたい。
私は今回の判決が正しいと追う。理由は異なりますが。

つまり
−現行法上、故父の同意、推定同意云々に関係なく、法律上の父子としては認められない。
立法論として、生物学的に間違いがなく、故父が明白に死後のその女性との間の人工授精を認めているときは、『当然に相続権や扶養の権利義務のない子』として、父子関係を認めていい
と考えます。

そりゃ、愛する夫が亡くなったとき、たまたま人工授精のための凍結精子があればこれを使って妊娠しても良いような気がする。その父の子として戸籍に書いてはあげたいです。父の欄が空白のままなのだから。

ですが、これを認めると、夫の死亡後十月十日たった後でも子どもが生まれる可能性があり、相続関係があまりに混乱する。相続関係では胎児も相続権がありますから。
たとえば、子どもがいないとき、故夫の妻と親または兄弟が相続人になるところ、子どもが2年後に生まれたら(15年後でも、100年後でも同じ)、相続人は改めて妻と子になってしまう。

混乱しない事案もあるだろうけれど、相続関係は一律に相続人の確定をしにければならない。実に全く20年別居していても相続権はあるものでもある。

扶養義務の範囲については、今は生活保護受給を見ても民法は全うされていない。だが、たとえば出産時に母が死亡して、子どもが5年後に生まれても、祖父母や叔父叔母、伯父叔母らに、扶養義務が一応発生することは、やはりおかしいと思う。

ですから、法律で、相続関係や扶養義務の関係を発生させないと一律に規定すれば、裁判所も社会も、父の同意があるとき、残るはまさに戸籍上のことだけとして、了解しやすいものです。

そんな法律は、そう与野党の争いがなく作れると思う。遡及効も持たせてサッサと作れば良し。夫婦別姓よりも簡単にできよう。

(ちなみに、夫婦別姓は、民主党や野田聖子さんの力がやたら下がったから遠のいたですね、まったく阿呆な話。実は子が少なくなったので、墓に象徴される「家制度」を遺したいなら夫婦別姓をむしろ作るしかないのですけれど)。

−−−−
で、経験からすると、法律上の親子関係など元々かなり信頼できないものです。それはそれとしておいてきたのが、日本人の智慧であったと思う。

現在、DNA鑑定が、3人とも口の中から組織を取れるならば、7−8万円ででき、これでいいのかなぁっ、と思うこともあり。
もちろん、父として間違いなく自分の子だと分ったりしてその限りで安心することもあって、良かったね、もあるのですが。

そもそも、現在の法の条文は
・ 認知請求は、父の死後3年以内
・ 父の嫡出子否認は、出産後1年以内
となっているのですが、
後者は、生物学的鑑定が血液、DNAと確実かつ安価になったので、「親子関係不存在の訴え」としてできることになってしまい、判例上、もう1年なんて関係なくなってしまった。
1年を過ぎた後に、やはり妻の浮気でできた子ではないか、と疑って相談があったりする。

 一方、戸籍上の親子関係など信頼できないエピソード。

1−日本人の母のアンケートだったか、どこかの生物学的検査だったか忘れたが、10人に1人、つまり10%の子どもは夫の子ではない、と。凄い数字だ、

だが、共に生活する以上、夫たるもの、1年の考慮期間で覚悟すべし、というのが法律の趣旨なんでしょうが、実態は10%は違うと。

2−「藁の上の養子」って、実際あります。妊娠中の母子手帳のうえで出産届出が出るのですが、それがなくとも、出産届出は昔は当然に今も可能ではある、と。

その結果、夫の不倫先の子どもを、正妻の子どもとして届け出ていたなんていう事例が実際にある、と。それが何十年も後の相続関係で厄介になるのです。
これなどは、父は生物学的に間違いないが、母が違うと。

3−そもそもさあ、50年前後前から、慶應大学病院で始まった他人の精子を使った人工授精。 そう、父の子でないのは当然のこと。現在でも、かなり行われていること。

これは、父が生物学的にはもちろん違うと。だが、これで後に父から親子関係不存在訴訟などできたら、権利濫用でしょう。子からだったらどうするか、先例はないと思うが。

児童の福祉関係をしている方から、時に聞く。養子縁組で小さいうちから育てたが、のちに親子関係がうまく行かず、離縁したいという話が少なくない、と。子どもが可哀想に過ぎる。

まして、他人の精子での人工授精だからとして18年後に親子関係不存在訴訟をできるとすれば、あまりにおかしい、と。


 ちなみに、生物学的に実子かどうかと、戸籍上の実子かどうかと、養子かどうかと、子がまともに育つかは別の話ですのに、(子どものときに良い子であったが後に、しょもないことになるのも良くある話)

4−感動したのが、戦災孤児に絡む事件。
もう10年以上も前になる。

相続関係の事案で、戸籍をみていたら、上の子が生まれた3ヵ月後ぐらいに次の子が生まれたことになっているんですよね。
気づいて、その兄の方、そして母本人 (まさにおばあさん)に聞いたのです。 双子でもそんなことがあるはずでないし。

すると、こんな話でした。
「ああ、大空襲のあと拾ってきた子なんです。3歳ぐらいだった。可哀想だったから」と。
戸籍もすべて焼けてしまっていた。んで、自分の子とともに育てたと。

決して経済的に余裕のある人生を送ってきた人ではないのです。私は、尊敬しました。このおばあさん本人と、大人になるにつれて気づいてきたのに、そのままで良いとしてきた、この関係者すべてに。

で、裁判関係者も、気がついた人から聞かれて私から説明したが、それ以上、何も言わず。それでいいのです。
 ああ、戦争やその頃のこと、もっと聞いておけばよかったなぁと。

 「時の流れに」は、私の十八番のひとつです。
 「人間の証明」とか本来の「砂の器」とかに描かれる親子の戸籍の現象、不思議ではないと思うべし、と。

−−−
まあ当事者本人ではないから言えるのかも知れないが。

閑話休題

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