2006/2/22

旅の食13  飯田線の旅

 「街興しと食」については、僕はこのブログでも、またあちこちでも意見を述べているが、何も伝統をほじくり返したり、よく基準がはっきりしない統計データをこじつけたりしなくても、素直に「今日から○○の街で行きます!」と明るく高らかに宣言すればいいのではないかと思っている。そうでないと、特に変わっていない平凡な食文化が根付いたところは永久に宣言できないし、また仮にそれなりの伝統や根拠があっても、どこか他の街が同じメニューで街興し宣言をしてしまっている場合、2番煎じと言われるので躊躇せざるを得なかったり、言い訳に四苦八苦するのではないだろうか。たとえばカレーや肉じゃがは旧帝国海軍に起源があるメニューらしく、横須賀や佐世保など旧海軍の拠点だった街が幾つか「うちこそ本家なり」と名乗りを上げている。あまりこの「本家」争いが激しいと、何か身内ではない旅行者はしらけてしまう。

 だいたいどんなに歴史がある伝統だって、「最初」があったのだから、その「最初」が「今日から」でも何ら問題はなかろう。100年後には立派な伝統になっているはずだ。
 また、僕は個人的には同じメニューが名物の街が何カ所あってもいいじゃないかと思う。それぞれに微妙に違いがあるだろうし、それを訪ねて食べ歩く旅も楽しいだろう。

 で、飯田線でも入り口の豊橋や、北部の駒ヶ根・伊那市は定番メニューがあるが、中部地域、天竜峡や飯田にはそれがない。毎回飯田で昼飯を食べるのに何を食べるか迷うというか、途方に暮れるのは承前の通りなのだ。この状態は何とかならないだろうか?
 以前飯田の街に何か名物メニューを作れないかと、勝手に考えたことがあり、何とか伝統やら名産やらにこじつけて考えついたのが、「紅白の素麺」を飯田名産の水引に見立てて出したらどうだろう?と言うものだった。素麺なら基本的に味がないので、後は何を付け合わせてもバリエーションを出せると思うのだが・・作家の椎名誠さんがだいぶ前の旅行のコラムで、四国を旅したときに、うどんをべた褒めしていたのに対し、素麺を気取っていてよろしくないとこき下ろしていた。・・確かに成人男性としては、長時間乗車で腹が減っているときに、うどんと素麺が並んで置いてあったらうどんに飛びつくような気がする。う〜ん商品企画は難しい。
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2006/2/21

旅の食12  飯田線の旅

「餃子の街」と聞いてすぐに頭に浮かぶのは「宇都宮」ではなかろうか。昨今の宣伝効果もあって全国的に知名度は高いように思う。よく大きなスーパーの展示販売などでも「宇都宮餃子」と赤い大きな横断幕を出した店を見かける。香ばしい餃子の匂いにひかれてのぞくと、ずいぶん大振りな餃子が焼かれている。「2パック買うと特製のタレもおまけします」と言われ、思わず口車に乗って2パック買ってしまうのだった。

実は静岡県西部の浜松も餃子の街としては有名で、実際に餃子店も多く、一般家庭での消費量も多い。浜松の餃子の特徴は、まず一般的な業務用の平たい鉄板ではなく、普通に家庭にあるフライパンで焼く事だ。餃子店でもフライパンで焼いている。やってみれば分かるが、家庭にあるごくありふれた直径26センチのフライパンの外周に、丸く輪を描くように小さく前へならえで餃子をドーナツ状に敷き詰めて並べ、中心にできる隙間にも餃子を並べると、一度に30個くらい焼くことができる。又、餃子の付け合わせとして、モヤシがつくのも特徴だ。餃子を頼むと皿には茹でたモヤシがついてくる。これは餃子のタレに浸けて食べる。気合いの入った餃子店などは、餃子しかメニューがないのが当たり前で、餃子及び餃子定食(餃子+ご飯+スープ)とビールしかお品書きが壁に貼っていなかったりするから大したものだ。チョイスできるのは定食の餃子が「何人前か?」と言った部分だけだったりする。
 香ばしく焼けた餃子をつまみにビールを飲むなどは、考えただけで腹が減る。浜松にお越しの節はウナギだけでなく、餃子も食べてみてほしい。

 さて、最近になり同じく静岡の東部にある沼津から少し内陸に入った「裾野市」が餃子の街として名乗りを上げている。街興しの材料をあれこれ物色している内に、餃子店が人口に比して多いことが判明したのだそうだ。比較の対照にされたのは本家の宇都宮で、「宇都宮より単位人口あたりの餃子店が多い、故に裾野は宇都宮以上の餃子の街」という論法なのだ。では、それほど餃子屋が多いかというと、JR御殿場線の裾野駅の周辺をざっと見て回った感じでは、餃子屋なんて見あたらない!だいたい宇都宮のように駅を中心とした大きな市街地なんてものが存在しない田舎なのだ。どこに餃子屋があるんだろう?駅に近くないと、僕らのような列車旅行者にはお手上げだ。
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2006/2/20

旅の食11  飯田線の旅

 当時のトロッコ車両は、今使われている客車ベースの改造車ではなく、貨車ベースの改造車だった。つまり元々が人間用ではないので、サスペンションが板バネ(大型トラックの後輪で見るやつ)で、堅くてうるさく、乗り心地がすこぶる悪かった。しかし席に座ると、今のトロッコ車にはある目線の高さの柵の横棒がなかったので、見晴らしだけは良かった。瓶のビールを開け、つまみなどをテーブルに展開して旅の準備を整え、発車を待つ。動きながら何かを飲み食いするのも、こうした旅でないとあまり経験しない状況だと思う。駅弁なども、止まっている車内やホーム上のベンチではなく、動いている車内だと、ことさら旨いように感じる。
定時になり程なく発車、いきなり想定外の問題発生!サスが堅いので、小刻みな突き上げるような振動がある。テーブル上にある乾き物のつまみなど、質量の軽いものは、紙相撲の原理で、小刻みに振動しながら少しずつ位置を変え、終いにはテーブルから落下してしまうのだ。プラコップになみなみ注がれたビールや、ビール瓶は質量があるので大丈夫だが、飲んで残りが少なくなった途端にコップも自主的にテーブルの端方向へ移動を開始る。
片手でつまみを押さえ、もう一方の手でコップを押さえつつ、ビールを味わい、風景を楽しみ・・・どう見ても、あまり「ほろ酔い気分でのんびりと」といった状況ではない。だがこの状況はすこぶる楽しかった。たとえガード下であっても居酒屋ではこれ程の状況にはなるまい。

今ではトロッコ車も乗り心地が格段に良い客車ベースになった。したがって小刻みな振動はもう起こらない。ほろ酔いになるには良いが、あの、あわただしくも馬鹿馬鹿しい楽しさはもう過去のものとなった。
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2006/2/19

旅の食10  飯田線の旅

 最近の飯田線は、それなりに沿線開発が進んできたせいか、あるいは僕らのような奴らがあちこちで不便だと文句を言ってきたせいかは知らないが、かなり線路沿いでも土日に開いている店が増えて、食料の調達で苦労することがなくなった。その昔は土日に飯田線に入ると、全く開いている店がなくて、豊橋で食料を買いっぱぐれると、その後は午後少し遅く天竜峡か飯田に着くまでは、何も食べることができなかった。だからみんな食料をある程度持参で旅行したのだ。つまり、OVAで鳥坂がカメラバックいっぱいに食料を隠し持っていたのは、そういった実話に基づいているのだ。
僕が初めて飯田線に行った10年以上前、当然そんな事情を知るはずもなく、仮にも鉄道沿線なのだから「それなりに街もあり、食事は現地でできるだろう」などと今にして思えば甘い考えを持っていた。旅行初日、行程上は中部天竜で遅い昼食の予定だったが、いざ着いてみると土曜日に開いている店がなく、食事がとれずに大変困った。その夜は伊那市に泊まり次の日曜日は、豊橋を目指して南下した。この旅行では帰りは中部天竜から「トロッコファミリー号」に乗る計画だった。そこで中部天竜で降りて、発車までの時間で買い出しをしようとしたら、昨日に続き日曜日にも開いている店が全くない。かりにもレールパークがある観光拠点なのに!せっかく展望良好な列車に乗るのだから、当然ビールを酌み交わしつつ、ほろ酔い気分で過ごしたい!しかし店が開いていない!!

 僕らはここでただ現状に甘んじて我慢するような諦めのいい奴らではないので、駅を遠く離れてビール調達に走った。改札を出て(青春18切符だから大丈夫)左手を進み、閉まっている食堂飛龍軒(今では休日もちゃんと営業している)を通り越し、少し先にある吊り橋を渡って対岸へ。そこは「中部」の街だ。ここが中部天竜の駅名の元になっているが、読み方は「ちゅうぶ」ではなく「なかべ」又は「なかっぺ」という。だが開いてる店はない。そこで昼間なので閉まっている1件のスナックのドアを激しくたたいて、出てきた「ママさん」と思しき人に「ビール売ってください!」と迫った。酒屋で買うよりもだいぶ高かったが、瓶入りビールを半ダースほど別けてもらって駅に戻った。プラスチックのコップはサービスでもらった。うきうき気分で入線してきたトロッコファミリー号のトロッコ車両に乗り込み、ビールの栓を開ける。今にして思うと瓶入りビールはかなり違和感のある光景だ。そうまでしてビールを飲みたいのか?もちろん飲みたいのだ。さあ、いよいよビール付きトロッコ列車の旅なのだ。
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2006/2/18

旅の食9  飯田線の旅

突然だが旅と言えばビールなのだ。自分が運転して車で動くときは1滴のアルコールも飲まないのだが、電車旅となると話は別で、(僕以外の誰かが運転する車でも同様)だらだらと酒ばかり飲んだくれているのは、このブログを読めば承前のとおりなのだ。で、この「だらだらと」というところが要諦で、あまり強い(アルコール度数の高い)酒だと、飯田線や夜行列車などに長時間乗っている間を通してほろ酔い気分でいる訳にはいかない。前後不覚なほど酩酊しては旅行にならないからだ。だから自然と弱い酒を飲むことになるのだが、その第一の選択肢がビールとなる。ただ、ビールには利尿作用があるので、あまり大量に飲むとトイレが近くなる。それは通路やデッキまで満員状態のMLながらなどにあっては大変困った事態なので、夜行ではビールを避けて抑えめに缶チューハイを飲んでいる。

 少し昔にビールは税法上の税率が高く売価が高くつくので、それを押さえて安くするため発泡酒というものが開発された。原料の麦芽の使用割合を下げて、その他の原料を使用することで、ビールにより近い味を出しつつ、ビールではない酒となった。当然ビールではないので税率が低く、その分が確実に販売価格の下落となって消費者、特に家計を預かる主婦層に大歓迎された。開発に当たってはビールと同等の味を出すのにヘビーユーザー(つまりは大酒飲み)にアンケートを採ったり、綿密な市場調査を行ったりと、かなり苦労したように聞いている。このヒットを受けて税収の減った政府は、このままじゃいかん!と言うので発泡酒の税率を上げる手段に出た。おかげでビールとの価格差が縮まり、それほどお得感はなくなった。そこでメーカーがさらに打った逆襲の一手が、最近人気の「その他の雑種」に分類されるビールもどき酒だ。こいつは原料に全く麦芽を使っていない。では何を使っているのかというと「大豆タンパク」で、考えようによっては豆腐や納豆の遠縁の親戚筋に当たる。もうこうなると、発泡酒でさえなく、税法上は「その他の雑種」となり発泡酒よりさらに税率が低い。当然のように販売単価が安いというわけだ。

 では僕は、旅では何を飲んでいるかというと「ビール」なぜかというと発泡酒やその他の雑種はまずいからだ。こだわりがあって・・なんて言うんじゃなく、確実に後味が甘くてまずいのだ。開発に苦労したメーカーさんには申し訳ないが、原料が全く違うんだから、味が違って当然で、それ自体をどうこう言う気はない。ビールっぽい味が好きで、より安い方がいい人はその他の雑種を飲めばよろしい。僕はそれほど頻繁に飲まないので、せめてたまに飲むときは割高でも旨いビールを飲みたい。そうでなければビールもどきなどで我慢せずに、おとなしく缶チューハイを飲む。

 さて、飯田線でビールと言って思い出されるのが、今や伝説の「中部天竜ビール調達事件」だろう。詳細は明日の夜に。
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