今日は、うちの職場内の研究費申請の締め切りでした。
まだ周りの状況がよくつかめていない私、同じ部屋の同僚たちがやけに忙しそうに机に向かっているのをいぶかしく思っていたのですが、締め切り1週間を切って、初めてそんなことがあったの!?と知ったような次第です。
”一言教えてくれればいいのに。水臭い。。”
という気もしなくはありませんが、研究者同士なんて、そんなものなのかしら。
ともかく、何人かの上司のアドバイスを仰ぎ、私も自分自身の小さなプロジェクトを申請してみることにしました。
アメリカのNIH(National Institute of Health;国立衛生研究所)グラントや日本の科研費(学術振興会の科学研究費補助金)の申請ほど大掛かりではなく、あくまで内輪の審査ですから、A4・2ページほどのフォーマットに、概要や予算、必要な研究時間を書き込むだけ。
なるべくシンプルに、でも内容が唐突にならないようわかりやすく。。。
一番嫌いで一番苦労するのはお金の計算です。
でも、
研究にはお金がつきもの。
、、というより、
お金がないと何も始まらない!
というのが現実だから仕方がありません。
大きく出すぎて蹴られるのも嫌だし、遠慮しすぎて必要なものが払えなくなるのも困る。。
いつも加減の難しい、悩ましいところです。
ギリギリ必要なものに、予想外の出費を考えて気持ち上乗せして、
きっちり1万フラン(90万円)の予算。
お金の心配はボス任せで、研究費のことなんか考えたこともなかった脳天気な大学院生が、こうして一人でそろばんをはじけるようになるまで丸3年かかりました。(笑)
さあ、どうなりますことやら。
どうか、通りますように。

パン、パン!
分野外の方には想像もつかないかもしれないのですが、どんなに小さな研究でも百万、ちょっと気合の入ったものなら千万、アメリカの巨大プロジェクトなんかになると、億単位のお金が必要となります。
機械や道具、消耗品、なんで医療機器ってあんなにバカ高いんですかね。ちょっとしたディスポの温度計だって何千円もするんですよ。水銀体温計なら10本は買えますよね。
でも、それ以上にお金がかかるのって何だと思います?
働く人の時間 なのです。
例えば、私のプロジェクト。とっても小さなものなのですが、麻酔中の患者さんについての研究である以上、自分の麻酔業務と研究の時間が重なってしまうのは避けられません。そんな訳で、時間外に自分で出来る仕事を全部かぶったとしても、どうしても最小限度のお手伝いをしてくれる人手が必要となります。
リサーチフェローに週1日半日働いてもらうとすれば、勤務時間の10%が私のために費やされるわけですから、彼の給料の10%は私が支払うことになります。
スイスの平均的リサーチフェローの年収は5万フラン(約450万円)ですから、1年ですべての仕事にけりがついてしまったとしても、45万円は人件費だけで飛んでいくのです。
もうちょっと余裕を持って手伝ってもらうなら、100万円がすぐ目の前ですからね。
あー、そろばんがあったらガチャガチャ振りたい気分です。ほんと。
まさに時は金なり。
というように、欧米では時間・労働はきっちりお金で解決する仕組みになっていますが、
日本の大学病院では、このあたり、非常になーなーです。
研修生とか、専修医とかいうのが似たポジションになるのでしょうけど、
給料をもらうどころか、お金を払って研修させていただく立場となります。
で、生活費はバイトでかせぐ。。
根本的に違う制度ですから、一概には比べられませんけど、
欧米でこういう話をしても、全く通じません。
”30過ぎた専門医が、何でただ働き??そんなに腕が悪いのか??”という論理になりかねません。
実際、アメリカに行く際、履歴書上の”大学院生=3年間無職・無給”というのが先方で非常に問題視されたため、当直のバイトで定期的にお世話になっていた病院に頼み込んで、非常勤の在職証明書を出してもらったなんてことがありました。
職歴上、1ヶ月以上のブランクは正当な理由を要求される事が多いようです。(例えそれが大学院進学であっても。。)
欧米の病院に履歴書を出す方は、そのあたり、十分お気をつけください。
あー、また話が飛んでしまった。
要は、研究費の申請が無事に通りますようお祈りしてくださいね。というお願いです。

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