アメリカから送った船便コンテナですが、1月下旬には無事にバーゼルの運送会社に届いたと連絡がありました。ただ、実際の通関手続きはスイス滞在許可の書類が揃った3月下旬となりました。
通関後、家財道具はトラックで配達されたのですが、車はバーゼルまで引き取りに行かなくてはいけない。というわけで、ある晴れた日の午後、都合がついた同僚(ドライバー兼通訳)と共に職場を抜け出して、バーゼルまで1時間のドライブに行ってきました。
車をアメリカから輸入するにあたっては、一足早く帰国したLuzius夫妻からさんざん脅されていました。
「あんなに面倒くさいことはなかった!スイス人の私たちでさえ大変だったのだから、外国人のあなたならきっともっと大変なはずよ!」
他の同僚たちまで、
「車を取りに行くんだって?本当に大丈夫?保険はあるの?あれは準備した?これは準備した??どこそこのウェブページに詳しく書いてあるから読んでおかなきゃダメだよ。」と再三電話をかけてくる始末です。
私も子供じゃあないですから、あらかじめ運送会社に「どーしたらいいんですかね?」と連絡して、必要な書類や手続きは確認・準備済みだったのですよ。でも、船頭多しというのですか?皆言うことが微妙に違って、どれが正しいのやら。でも、ふたを開けてみたら、結局一番確実な情報をくれたのはやっぱり運送会社の担当者でした。
アメリカからスイスへ車を輸入するような物好きな日本人はそうそういないと思うのですが、ここで簡単に私の取った手続きをご紹介したいと思います。(ヨーロッパ国間での車の相互乗り入れはフリーですから、ここではそれ以外の国からということになりますし、あくまで私個人の体験ですから、運送会社が違ったり担当官が違ったりしたら、全く違ったことが起こるかもしれません。あしからず。)
6ヶ月以上所有した車を家財道具と共にスイスに持ち込むと、免税扱いで処理をすることが出来ます。スイスは物価が高い上にどの車も「外車」ですから、このメリットは非常に大きいといえます。
通関の手続きは運送会社に全てお任せにしていましたので問題なく終了し、通関完了を証明する書類も既に私の手元に送られていました。
私の車はまだアメリカ合衆国の登録下にあります。ナンバープレート、税金、などなど全てアメリカの登録を維持した状態、要はアメリカ人ってことです。で、このアメリカ人がヨーロッパのスイスに入国するには、人間様と同じでパスポート・ビザのようなものが必要になるわけです。これがGrenzsicherungという書類。税関で通関許可の書類を見せて購入することになります。1ヶ月有効のものが250SFr。これが車の保険の役目も果たすのだそうです。けっして安くはありませんが、1も2もなくおとなしくお金を払って、書類にはんこを押してもらいます。
あとは車を目と鼻の先の倉庫に迎えに行くだけ!胸が躍ります♪
留学・赴任先に一足早く単身で赴いて、後から来た家族を迎えに行くってのはこんな気分なんでしょうか。
(車の方がとっくの昔にスイスについていたという事実はこの際無視です)
倉庫で担当のDarioさんと落ち合い、車全体の調子をざっと見て受け取りのサインをし、ミズーリ州のライセンスプレートを取り付けて、準備完了!
ね、あっけないと思いませんか?
周りの脅しにあおられて、思いつくだけのありったけの車関連書類を抱えていったのに、税関事務所ですら、ちらっと通関の書類を保管してあるものと照合しただけ。身分証明証もパスポートも、車の登録証も、運転免許証も、とにかくな〜んにも要求されませんでした。
「へっ、もう終わりですか??」って言ったら、
「他に何か?」って逆に聞かれました。いや、いいんですけどね。
その後、ガソリンスタンドでタイヤの圧力を調節して、Autobahnのステッカーを買って、いざベルンへ。
(Autobahnが40SFr(約4000円)で1年乗り放題だなんて、日本のどこかの公団に聞かせてやりたいです。)
地味なヨーロッパのライセンスプレートのなかでは、カラフルなアメリカのライセンスプレートはやっぱり目立つようですね。何度も横を通り過ぎる車から覗き込まれました。
これが私のミズーリ州ライセンスプレート。
やっぱりこんなプレートをつけた車が走ってたら、目を引くかな?
インディアンとか、カウボーイとかのプレートでないというのがせめてもの救いです。
さて、今度はアメリカ人の愛車をスイス人に帰化させる手続きが待っています。
(友人たちが善意であれこれ世話を焼いてくれているのはよーくわかるんですよ。でも、今回はあまりに無責任に振り回してくれたな。と思います。あからさまに文句は言えないのですが、車を無事にベルンに持ち帰った晩だけは、ルームメイト相手にさんざん悪態を聞いてもらいました。そうしないと気がすまなかったのよぉ!! 懺悔終了)

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