アメリカの医学校は4年間ですが、大学院と同じレベルの教育機関になるため、事前に科学系の学部を飛び切り優秀な成績で卒業しないといけません。
医学校卒業後は1年間のインタ−ンを経た後、それぞれ専門の分野の研修が始まります。ここでも、医学校在籍中の成績、医師免許試験の成績、面接の結果が厳しく審査されて、いい研修プログラムを受けるためには相当いい成績を収めていないと難しいのだそうです。
麻酔科の場合、3年間のレジデントプログラムを修了して専門医の試験に合格すれば、晴れて一人前の麻酔科医とみなされ、競争、試験のストレスから解放されるわけです。回り道をしなくても、1人前になるのは31,2才という長い道のりです。
(これが外科系だと、6年とか7年とかの研修になるので、一人前になるのは更に遅くなるわけですが。。)
経済的な視点から言い換えると、
学校を奨学金(要は借金)で卒業し、
研修中に結婚して子供が生まれ(このパターン、中西部ではほとんど)、
一人前の給料がもらえるその日まで、なけなしの研修医の給料で一家が耐え忍ぶ。
ということになります。
一人前の給料は、病院によって千差万別とはいえ、最低でも研修医の4,5倍、多ければ10倍以上(!)になるらしいので、耐え忍ぶ価値は十分あるんです。
そのようなわけで、レジデント卒業というのは、アメリカの医者にとっては非常に大きな、真の巣立ちとも言えるイベントなのです。
日本の場合、厚生省が定めた2年間の研修制度が終わっても、申し訳程度に紙切れ1枚が渡されるだけで、仕事内容も給料もほとんど変わりませんでしたから、ちょっとビックリしました。
(注・今は卒業後研修の仕組みが変わったので、もっと節目らしさがあるかもしれません。)
6月の半ばから下旬には、各科で盛大な卒業パーティーが開かれます。
私も麻酔科・脳外科共に毎年出席していますが、メインの出し物はなぜかどこもShort Film。卒業する研修医が一人一人コメントを残したり、スタッフや秘書さんが登場するお笑いスキットがあったり、と、毎年力作ぞろいです。
既に今年のFilm Shootingも着々と進行中です。
私も出演依頼を受けまして、先日撮影を行いました。
急変した患者さんの所に研修医が救急バッグを持って駆けつけると、バッグの中から私が飛び出てくる。というシナリオ。

スタッフとしての人望というよりは、私のサイズが採用のポイントだったんでしょうが、彼らの思い出に足跡を残せるのは正直うれしいことです。
かわいい彼らの新たな人生のはなむけになればと、渾身の演技

をしました。
撮影中は周りでナースたちが大笑いしていたから、うけるのは間違いないんですが、
出来上がりが楽しみなような、恥ずかしいような

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