road to truth

ひとりの人間の「真実の生き方」への模索の記録

 
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続・迷いながらも自分の道を生きる

一学期のある頃にK君が言っていたことば。

「学校なんて無くなってほしい」

それ以上のことはいくら聞いても言わなかった。

この数年で、小学校はかなりの変貌をみせた。
できる子・普通の子・できない子と、子どもを3ランクに分け、それぞれ別々の教室で授業を受けさせる習熟度別学習が当たり前のように行われるようになった。
新学習指導要領は、全学年、週当たり1時間の授業の増加を強いた。
そのため、かつては「朝の会」をやっていた時間帯が実質的な一時間目となった。
教育予算がきりつめられ、授業に必要なものでも簡単には手に入らない。
正規採用の配置がぎりぎりに抑えられ、非常勤講師が大量につかわれるようになった。
「ゆとり教育」などと言われていたが、先生たちに「ゆとり」などますますなくなっている。子どもの生活環境や発達状態は悪化しているのに、それに答え解決をはかるための時間が保障されていないのだ。
普通クラスに、注意欠陥多動性障害・高機能自閉症・学習機能障害・緘黙児など多数抱えスーパーマンのような対応が求められる。
また、先生にも子どもにも、学力テスト導入に象徴されるような競争圧力がじわじわと強まっている。

K君の学年も2年生まではゆとりがあった。
今と同じ40人弱の子どもが二クラスに分かれていたからだ。今は一クラスだ。
いまどき、「先進国」でこんな国が他にあるのだろうか?
学力テストに毎年何十億もの金を使うくらいなら、少人数クラスの実現のために金をつかえば、「学力向上」の効果は間違えないのに。
貧困の影も濃い。消しごむや鉛筆すら普通にそろえられない子もいる。経済的という面だけでなく生活の全般的崩壊という形でじわじわと貧困が進行しているようだ。
K君の場合は朝ごはんをつくってもらっていない。休日は一日中テレビゲームをしていることが多い。夜11時ごろまでやっている。そんな翌日に集中して勉強できるはずがない。

先月のある日、僕の授業の時のこと。
全体に落ち着かない雰囲気の中、Kもいらいらしていた。2時間目の算数の時になにかがあったらしい。いつも授業前に「きょうもがんばる」といってくるK君が「きょうはまじめにやらないよ」といってきた。
その言葉どおりだった。班学習のときN君と殴り合いのけんかをはじめた。Kは興奮状態だった。とりあえず、2人を引き離す。落ち着かせるためKを廊下につれだした。じっくりと向かい合うべきだったが、クラスに戻ってやるべきことを指示しなければならない。そうこうしているうちにK君は戻ってきて再びN君に殴りかかっていく。かつてないほどの興奮状態だった。無茶苦茶な状態のまま授業時間終了。
Kは相変わらずあばれつづけ、関係の無い子にたいしても「お前もぶっ殺す」などと叫んで殴りかかる。大きな声で一喝してもおさまらない。体を力ずくで押さえつけると、
「はなせよ。」とさらに暴れる。「君が暴力をやめない限り、絶対にはなさない」
と強い態度にでると、悲しい声で彼はこうさけんだ。

「もうストレスで爆発しそうなんだよ」

だからといって暴力をふるって何も罪の無い友達にいやな思いをさせてもいいのかといっても言葉が響かない。「全員ぶっころしたい」という。それで君は幸せか?といっても聞く耳を持たない。そんなやりとりに僕は疲弊する。
もう給食の準備が終わり、皆が給食を食べ始めていた。
その時僕はふと思った。「ストレスで爆発しそうだ」という彼の苦しみに対して、僕はどれほど心を寄せようとしたのだろう?とりあえず騒ぎを収めたい、それだけではなかったのか?一番苦しんでいるのはK君だ。Kの苦しみを一緒に苦しんであげるべきではないか?

そんな思いから言葉があふれでてきた。
「なにがそんなに苦しいのか。なにがそんなにストレスなのか。僕にはよくわからない。君の事をそんなに知っているわけじゃないからね。わかってあげられなくてごめんな。」
そう伝えた時、彼ははじめて我にかえったように「はっ」として僕の目を見た。
その目はそれまでとうってかわったような優しい目だった。

校庭側の窓際の壁にもたれて、二人は床にすわっていた。
それから彼は動かなくなってなにかをじっと考えていた。(つづく)



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投稿者:eudaimonia
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