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ひとりの人間の「真実の生き方」への模索の記録

 
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尾崎

尾崎のことについて書かれた新聞記事の存在をしった。
以下、毎日新聞(大阪版)の記事より・・


尾崎豊の死後に彼を知り、深くかかわるようになった女性がいる。岡山県立大(同県総社市)助教授の児玉由美子。

 96年、教え子が事件を起こし、自ら命を絶った。成績もよく、親思いだった。「学生は人間関係に悩んでいるのでは」。環境造形作家で、景観論を教えていた児玉は思った。「心の景観論」と名づけた授業をし、心を大切にする景観づくりを学生と考えてみよう。

 題材を探す中で出合ったのが「尾崎」だった。没後5年が近づき、テレビで特集が組まれ、本が出されていた。若者に強い影響を与え続けているという。児玉はそれまで尾崎を知らなかった。年齢も一回り離れ、なぜ人気があるのかピンと来ない。不思議に思いながら、尾崎のライブの模様などを収めたビデオを用意。尾崎の命日を前に、授業で学生たちに見せてみた。

 忘れられない光景になった。目に涙を浮かべる学生が続出したのだ。いつもは「仮面」をかぶって無表情なのに。教壇に立って20年。授業で泣かれたのは初めてだった。終わると、男子学生が目を赤くしてやってきた。「もう1回見せてください」

 思うことがあれば書いてもらおう。軽い気持ちで、白紙のコピー用紙を配っていたのだが、出席した約240人の多くが悩みや苦しみを書いた。恋愛のこと、家族とのこと。自分の離婚問題で悩む者もいた。普段は学生たちが見せない、赤裸々な胸の内が見えた。

 「これは、どういうことか」。理由を知りたい。3カ月かけて尾崎のビデオと歌を片っ端から視聴した。尾崎は曲の中で悩みや苦しみ、自らの「傷」を隠さず表現していた。学生たちはこれに反応したのだと思った。

 いつしか、尾崎は研究対象になった。週に1回、尾崎を授業で取り上げた。授業が終わると、学生たちは感想とともに、さまざまなメッセージを寄せてきた。その中で、見過ごせない文章を見つけた。


「愛って本当にあるのですか?」

 岡山県立大助教授の児玉由美子は尾崎豊を教材にした授業の後、学生が書いてきたメッセージの中に、こんな文章を見つけた。今の学生は思っていることをストレートに書いてくることは少ないのだが、不安に揺れる心の内が伝わってきた。

 その年に入学した男子1年生だった。児玉は「何か事情がある」と感じた。だが、呼び出して聞くわけにはいかない。200人の受講生の1人であり、顔が分からないと思っているからこそ書いてくれたのだから。

 本人に内証で母親に連絡してみた。母親はこの学生に毎日殴られ、困り果てていた。家庭内暴力だった。学生は中学時代に両親が離婚。当時は受け入れるしかなかったが、年を重ねるにつれて父親と別れたというのに母親が浮かれているように見えるのがどうしても納得できなくなったらしい。心に傷を負い、その傷は悪いものだと感じているように思えた。尾崎のメッセージに「傷があるからこそ人間なんだ」という言葉がある。授業ではこのあたりのことを意識的に取り上げることにした。この学生に届くように願いながら。

 “告白”から2カ月後、この学生のメッセージに目を通した児玉の目に涙があふれた。「立ち直らなければいけないと思いますが、どうもうまく行きません(中略)。今日の授業で楽になりました。心からお礼を言います。先生、ありがとう」。尾崎の歌を通じて、心の傷を自ら認め、受け入れてくれたのだと感じた。これを境に、暴力はなくなった。

 児玉自身、離婚経験がある。コンプレックスになっていたが、尾崎と出合って「それも人生経験」と客観視できるようになった。感謝したい気持ちだという。少年の心の問題を、尾崎を通じて解決する矯正教育につなげたい。そのためのNPO法人づくりを目指す。



これぞ教育。
読みながら思わず泣きそうになった。
尾崎も本物なら、この先生も本物。
いかがわしい偽物があまりにも多すぎる。
だから本物に出会うと、その感動はあまりにも深くそして重い。
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投稿者:eudaimonia
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