2011/6/2

ある「利き酒会」参加記  短歌

大阪市の日本橋近くに黒門市場という市場がある。大阪ミナミの台所として親しまれている庶民的な市場で、特に魚の新鮮さで有名である。その一角に少しだけ洒落た雰囲気の料理店があり、その店の紹介者である友人とたまにのぞいていたのだが、先日は利き酒会の案内ハガキが届いたのでその友人と参加した。利き酒会には今回で3回目の参加となる。

定刻10分前に着くと店にはまだ誰も来ていない。参加定員は12名だがどうやら私が一番乗りらしい。しかししばらくするとどこからか申し込み客が集まり、日本酒ソムリエが登場するとやがてにぎやかに利き酒会は始まった。参加者には3名の女性も含む老若男女で、平均年令は50代後半くらいか。

女将の開会の口上によれば、今回は東北6県の地酒を8銘柄揃えたのだが、中には工場が津波被害のために復旧不能になって今日提供される瓶を含め在庫限りの酒もあるという。いずれにしても、こういう形ででも東北の復興を応援したいという一つの目的が語られた。

ソムリエの解説によると、8種の日本酒は日本酒度、酸度、コクなど様々な個性があるようで、利き酒用の酒椀に少しずつ注いでもらいながら香りを楽しみ飲み口を確かめのど越しを味わっていく。だが4種めくらいになると結構酔いも回ってきて「もうどれがどれだかわからなくなってきた」と、皆が言う状態となる。

そうこうするうちに女将が、今回初めての試みとして利き酒クイズをやるという。つまり8種類の酒を一番たくさん言い当てた人には市価1万円の大吟醸の福島産のお酒をプレゼントするというものである。これで皆の闘争意欲に火がつくが、既にほろ酔い状態となった友人は賞品はあきらめて飲むことだけに徹しているようである。

8種の酒をひと通り味わったあと、いよいよ利き酒クイズが始まる。布で覆われた一升瓶から一人ひとりに酒が注がれ、次々に銘柄の番号を記入していく。利き酒はさておいて料理と飲むほうに重点を移す人が次第に増えているようである。ああでもないこうでもないとワイワイ話しながらクイズタイムは終わり採点結果が発表された。

結果は、なんと水商売の従業員らしき若い男性と私とが6種を当てて同点優勝だという。6種ということは1種だけ取り違えたということなので、なかなかの好成績である。ルールではじゃんけんで順位を決めることになっていたのだが、男性は年功順がいいからと私に勝ちを譲ってくれた。それでは私の気持ちが済まないからと、その場で一升瓶の封を切り全員に一口ずつ注いで飲んでいただくことにした。確かに上等の酒はうまい。

その後は、半分くらい残った一升瓶を抱えて地下鉄と近鉄電車で自宅まで帰ったのだが、こういう形での復興支援もあるのかという印象と、小さいとはいえ勝負ごとで一番になった心地よさを味わえた得難いひと時ではあった。

「東北の南部杜氏の心意気ひと口呑めば心に響く」

「東北に思ひを馳せて呑む酒はほろりと苦し利き酒の会」
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タグ: 利き酒 東北 日本酒



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