東北大の川島教授によれば、簡単な作業ほど脳が活発化するという。数学の学習でも同様に感じる。基礎・基本がしっかり身に付いている生徒は、少しのヒントを与えるだけで難問といわれる問題を自力で解決する場合が多い。それに対して、基礎・基本をおろそかにしている生徒が難問に立ち向かった場合、いくら説明しても、その解法を理解できない場合がある。素人的な考えでは、それは多分、基礎・基本の事項が互いに連関して把握されていないからだろう。基礎・基本の事項の真実を知らずに通り過ぎてしまったからだろう。基礎・基本がしっかり身に付いていると、互いを何とかつなげて解決の道具にしようと考える。おそらくその違いで数学の出来不出来が決まる。基礎・基本の反復練習により、脳が活発化され、実力以上の力が発揮できるようになるという信念で、数学の演習問題は極力基礎・基本に限定して練習させるようにしている。そういえば、以前、全国的にかなり有名な進学校の授業を参観したとき、いやになるくらい基礎・基本の繰り返しであった。ただ、基礎・基本の繰り返しといっても、一つの見方にとらわれず、多面的にアプローチする授業であった。一つの食材でいろいろに料理されてくるので、食べる方は全く飽きない。授業後は満腹で、とても充実感を感じた。

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