劇団四季の「マンマ・ミーア!」以来2年ぶりの観劇だった。日本での公演回数も多い、あの「ベニスの商人」(芸優座)である。舞台も重厚に造られ、音楽もシェイクスピア時代の楽器(ビオラダガンバなど)を使った演奏、そして衣装も当時のデザインで製作してあった。予算規模を考えると心配していたが、十分演劇の面白さを堪能することができた。学生時代の英語の授業でこの作品を読んだという記憶はあるのだが、ストーリーはほぼ忘れていた。ただ高利貸しの「シャイロック」という名前と「肉1ポンド」という言葉だけがなぜか頭の片隅に残っていた。今の世では、公序良俗に反する契約ということで無効になると思われる証文も、「肉1ポンドは切り取ってよい。ただし血の1滴もとってはならない」という名判決を引き出す名脇役であったと言えるだろう。

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