俳句の季語に「尽」と云う言葉を使うそうですが、これらの「尽」は、その月の最後の1日のことで、今日を最後に冬が終わったという喜び、今日を最後に春が終わり熱い夏が来ると云う感慨の「尽」です。
1月も最後の日、最寄りの駅始発の電車の中で急いで化粧をする女性がいました。人工のまつ毛を付け、見る見るうちに変化していきます。素顔と化粧した後の両方の顔を見ることになったのですが、何だか恐ろしいような気もしてきました。
何で素顔のままではいけないのでしょうか。何で女性だけが化粧をするのでしょうか。男は化粧をしないのに・・・・・。いや、男性も髭をそったり、調髪したり、服装にも気を使います。
男も女も其々、化粧し自分の素顔を隠そうとしています。自分が醜いものだと知っているからでしょう。一方、美しく見せたいとも思っているに違いありません。
人の心にオゾマシイもの、汚いもの、人として教えられた規範から程遠い醜い自分が存在し、隠したいと願いつつ暮らしているのかもしれません。
人は、其々隠したいものを持って生きていますが、中には露出狂のような人もいます。このブログを公開している私もそうかもしれないのです。それでも全てを公開しているわけではありません。むしろ、隠す事が多くて大変なのです。
私たちは、日々精一杯の演技をしながら生きているのではないでしょうか。此の演技を化粧とすれば、電車の中で、精一杯化粧する女性を理解しないわけにはいきません。ただし、場所をわきまえて欲しいとは思いますが・・・・・。
きれいな顔を見せたいと云う、深い欲望を露わにした女性、ほんの短い始発電車の出来事でしたが、化粧や演技も世の中を暮らしていくには欠かせない事かもしれないのです。

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