今回の新型コロナウイルスによる経済の状況は、回復の時期が見通せず、就職を希望する学生の採用縮小が長期にわたる恐れが否定できません。再び氷河期とならないように、早期に対策を打つことが求められます。
就職活動のつまずきはその後の人生設計や、社会に対する影響が大きく左右するだけに、放置することは許されません。1990年〜2000年頃に社会へ出た人たちは「就職氷河期世代」と呼ばれ、卒業時に正社員になる機会を失い、非正規雇用で現在も働き続ける人が少なくありません。
その世代が社会の中心を担う40〜50歳を迎え、低所得や不安定な雇用が存在し、消費の不振や税収減、人口減少や社会保障費負担の増加などを引き起こし、経済の発展に影響を及ぼしています。
ただ、当時の「就職氷河期」は、バブル崩壊で日本の経済が壊れ、大量採用が企業にとって大変な重荷と、終身雇用の文化が残っていて、派遣や契約社員の雇用の比率を上げて新卒採用の門を狭くしたのであって、今回の新型コロナウイルスによる採用縮小は同じ土俵では語れません。
企業が求める人材は、本人が学生時代に備えた経験ではなく、能力とコロナによる変化に適応できる柔軟性を評価し、コロナの時代に生き残る素地があり、主体的に思考して動ける能力を求められ、従来からの「優秀な人材の定義」が変わっている気がします。
つまり、自己分析方式の就職活動だけでは今や時代遅れとなり、先行きが不透明な時代をいかに読み込むか、市場にある情報で未来予測ができるか、今 企業が必要に迫られて求めている能力は何かを表現できるよう、学生の意識を変えていく必要があります。
これまでの日本の就職活動の文化は、新型コロナウイルスの影響が加わって大きく変化し、欧米並みの採用・雇用関係に近くなっていると、学生も企業も学校も捉えるべき時代が来たように思います。
写真:三ヶ根山頂から三河大島を望む 2020.11.15.撮影

4