愛知県岡崎市から蒲郡市へ車で向かう途中に、全国一の生産量を誇る「筆柿」や、自動車部品、マットレスなどの製造業が盛んな、自然と産業の調和した人口43,000人余りの緑が豊かな、愛知県額田郡幸田町があります。
11月上旬頃まで出荷を終え、今はすっかり葉を落とした筆柿の木が道の両側に立ち並んで冬を待つばかり、私はこの柿畑の風景が大好きです。
筆柿は江戸時代より愛知県三ヶ根山麓に自生していた品種で、栽培の歴史は古く、江戸時代にはすでに農家の庭先で栽培されていて、昭和に入ってから、地元 特産品の目的で本格的な栽培が行われるようになり、現在では全国シェア95%を占めているそうです。
筆柿は不完全甘柿で、甘い柿に混じって渋い柿が1割ほど混じり、種子が入ると渋が抜けて甘くなり、種子が入らないと渋が残ります。果肉に茶色いゴマが多く入っていれば、甘い柿で、形は名前のとおり筆先みたいで、大きさは100グラム程度と小さな柿です。
先人のさまざまな努力と工夫の末、自動選別機が開発され、渋い柿に当たってしまう事はほぼなくなり、今では安心して食べる事ができます。
形が毛筆の筆先に似ていることから「筆柿」と書き、「ふでがき」と呼んでいますが、地元では男性器に似ているところから「チンポ柿」と呼んでいました。しかし、それでは他の所へ売り出せないということで、珍しい宝のような柿「珍宝柿(ちんぽうがき)」または「筆柿」と呼んでいます。
富有柿や次郎柿より1カ月ほど早くから出荷される筆柿は、幸田町きっての特産物で、和洋菓子などへも利用され、お土産品としても好評です。
筆柿には栄養が豊富に含まれていて、カリウムは塩分を体の外へ出す役割があり、高血圧の予防に効果があると言われています。「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるほど健康食品として優れているとか・・・・。

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