日本には、印鑑登録制度があり、1873年(明治6年)に制定されたもので、重要な契約時には必ず署名と合わせて、捺印(なついん)するというものです。
当時、中国の官印制度を見習うことになり、この日まで庶民には印鑑を持つ権利がなくて天皇や武士が、その権力を表すためのものとして持てるものでした。一般人が使えるようになったのは明治以降のことです。
私は実印1本、認印は4本持っています。今まで土地の売買、車購入、ローン契約、銀行口座の開設、金の引き出し、履歴書、婚姻届、免許の更新、郵便物の受け取り、会社の業務など、印鑑を使う機会がとても多かったように思います。
認印はともかく実印を使う機会は少なかったように思います。アメリカでは、ノータリー・リパブリックという役職の人が存在し、重要な契約の際に付きそう、第三者の公証人が、本人であることを認めるスタンプを押してくれるのだそうです。
そもそも印鑑は中国から日本に伝わりましたが、現在では中国や韓国での印鑑制度は存在してなく、欧米と同様に契約はサインまたは電子認証ですませ、中国では“印鑑はお土産”として人気があるようです。
新型コロナウイルスの感染を防ぐため、書類にハンコを押すために出社する人も多く、テレワークの阻害要因にもなっていると、経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長は4月27日の記者会見で、日本企業に残る押印の慣行を巡り「まったくナンセンスで、感染防止を優先すべき」との報道がありました。
電子認証も日々 増えているようですが、まだすべての人に対応しているとは言えず、一方、指紋認証といえば、生まれつき手がない人も存在します。羽田空港では、2016年に国内初の顔認証ゲートを導入しましたが、普及には時間が必要のようです。
日本の印鑑文化は、そう簡単にはなくなりそうにありません。

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