雑草は、私たちの生活範囲で人の意図にかかわらず、自然に繁殖する植物で、一般的には人にとって有用でなく、取るに足らない存在の単なる草を言います。
ところが、昭和天皇は「雑草という名の草はなく、どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない」という有名な言葉があります。
入梅時期、気がつけば庭や畑は草だらけで、雨水を得て伸び放題です。たくましい生命力はしたたかであり、1本1本引き抜きたいところですが、それもかなわず、仕方なく草刈り機で刈り取ってしまいます。
田んぼのアゼ草で、草をしばらく放置すれば「セイタカアワダチソウ(キク科アキノキリンソウ属の多年草)」が繁殖し、激しい勢いで増えます。
しかし、このセイタカアワダチソウは、アレロパシー作用という根などから天然の物質を出し、他の植物の発芽を抑制する作用があり、長い間その場所で生え続けると、ついには自らもその物質に冒されてしまい、自然に姿を消してしまいます。
毎年連続、同じ畑で作物を作り続けると障がいが起きるのもアレロパシー作用の影響だとも言われています。
自然環境を見ると雑草は、道端や畑の中でも放っておくとどんどん背丈が伸びていきます。これは、肥料を施さずとも窒素が土の中で足りている証拠なのです。
昔は、化学肥料などなく、雑草(青草)やワラなどを敷き詰めるのみで、それが徐々に分解し、土を肥やし、それを吸って植物が育っていました。
野菜栽培など、究極の味と安全を求めようとすれば、米も野菜も無施肥で栽培するのが人間にとっても環境にとっても最善の方法と言われています。
雑草も無駄にしてはなりません。世の中を生き抜くには「雑草のごとく」でなくては・・・・。

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