私が沖縄を訪ねたのは、10数年前のことです。太平洋戦争で約20万人の尊い命と財産、文化財、自然が失われたとされた沖縄でしたが、人々の努力で見事に復興を遂げ、美しい沖縄を見ることができました。
しかし、現在の沖縄県にとって、アメリカ軍基地が集中することから基地面積の縮小・土地の返還を戦後主張し続けてきました。沖縄の基地問題は、日本の歴代政権が打開に苦しみ、主要メディアの論調も割れていて、太平洋戦争が残した爪痕の大きさを今も感じないわけにはいきません。
北朝鮮の軍事的威嚇や中国の尖閣諸島周辺活動で、沖縄のアメリカ軍は今も日本の安全保障上の抑止力として機能していると考えて良いでしょう。
沖縄が返還された時の約束では「本土並み」だったのです。現実には、沖縄本島の約2割がアメリカ軍基地で占められており、在日アメリカ軍の人員の約70%、が沖縄におり、基地面積でいえば全国の74%が沖縄に存在しているのです。
戦後基地が返還されて地域経済が衰退した事例はないといわれています。沖縄は基地に対する依存度が他の地域よりはるかに高く、たしかに基地の存在で経済的に結びついている人に返還は困ったことですが、依存度は下がりつつあるようです。
つまり、政治経済のレベルで基地問題を考えるとアメリカ軍は撤退してもらいたいのですが、日本の安全保障のレベルからみれば、これ以上の撤退は困るということではないでしょうか。
ここで日本とアメリカの「対等性」の問題と、日本の「安全確保」の問題がある種の均衡点に達しているのではないかと思います。
きょう6月23日は、沖縄にとって終戦の日で、この日が沖縄で組織的な戦闘が終わったとされ、8月15日ではなく、きょうが沖縄県の「慰霊の日」と定められ、毎年、「沖縄全戦没者追悼式」が営まれているのです。
写真:インターネットから借用

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