今から44年前のきょう、1972年(昭和47年)6月11日に日刊工業新聞から刊行された自民党のマニフェストといわれた「日本列島改造論」は、当時佐藤栄作内閣の通産大臣、田中角栄著であり、懐かしく思い出される人もいると思います。
当時も、日本にとって東京の過密と地方の過疎化は進む一方で深刻な問題でした。日本列島改造論は、こうした状況への問題を鋭くつき、交通網の整備を進めることで解決するというものでした。
ところが、建設された交通網は東京へ向かう路線が多く、思いとは逆に、地方の過疎化を推進したという皮肉な結果になってしまいました。
私は当時、建設会社に勤務していて「この本は土建業一辺倒だ」という批判もありましたが、「日本列島改造論」は、教科書のような存在で読んだものでした。
田中角栄はいわゆる「財界のひも付き献金」を嫌い、自前で金策して財界の言いなりにはならず、いまアメリカの大統領選挙で資金を自前で調達し、金融資本を非難してきた共和党のトランプ候補の人気に通じるものを感じます。
中国との国交回復、ロッキード事件など、功罪のあった田中政治でしたが、自前資金?を高級官僚から政治記者に至るまで思う存分ばらまいて、「思い切り仕事をやれ、後の責任は俺が取る」と、機関車のごとく計画を前へ進めたのでした。
それに比べ、舛添東京都知事の、家族同伴の旅行や食事、娯楽や漫画本の購入など、みみっちい行いの記事を読んで、田中角栄時代を懐かしく思い出している人も多いのではないでしょうか。
弁護士は「個人的な利用の疑いがあり不適切」としたものの「政治資金規正法などに使途の制限がない、・・・違法性はない」とのようですが、政治資金を私的に使って合法と言われても・・・、いかがなものかと思うのです。いったい選挙で彼に投票したのは誰?
昨日も帰宅の途中で書店に寄ると、田中角栄の関連本がずらりと並び、どれもよく売れているそうで、皮肉なものです。

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