厚生労働省は7月15日最低賃金で働いた場合の手取り収入よりも、生活保護費の方が高い「逆転現象」が、北海道、広島、宮城、東京、兵庫の5都道県で起きていると発表しました。 同省の諮問機関「中央最低賃金審議会」は今月下旬、地域の実情を踏まえて引き上げ額を決め、今秋から適用すると云います。
医療費の扱いなどを含めると、最低賃金で働いた場合の手取り額と、生活保護の支給額を単純に比較すること自体に無理があります。しかし、現実的に求職中で働ける人にとっては、意欲を削がれると云ったことはあると思います。
さて先日、中日新聞で取り上げられていました無料低額宿泊所は、以前から話題になっていて、この記事を読む限り単身で生活保護費を受けると月に12万円程度あり、生活費を差し引いて残りを現金で渡されるという、資金管理方法に問題があるとしています。
さらに、無料低額宿泊所の運営者は、仕事を失い路上生活する人々にも声かけて、生活保護の申請手続きを仕向け、ビジネスにしようとする様子を報じています。
本来保障されるべき人間の生存権は、「貧困ビジネス」の理屈で正当化されるものではありません。ビジネスを通じて社会貢献であるかのような装いを可能にさせる貧困ビジネスは、公共のやるべき行政の撤退、あるいは元々行政サービスが不在の為に成長したものです。
典型的な貧困ビジネスとして「人材派遣会社」があり、労働者の賃金から「マージン」と称して家賃や手数料で「ピンハネ」して収益を得ています。他には、「建設業や不動産業」と称して、「食」「住」を専門に提供する貧困ビジネスもあります。
最低賃金額と生活保護費の対比、貧困ビジネスの存在や構造など、このビジネスが成り立つこと自体に問題があることを忘れてなりません。
本来、人材派遣会社やインターネットカフェなど、貧困ビジネスの対象と云われる社会的弱者を標的に営業しているわけではありません。この人々のみを“収益源”としている業者が存在すること自体に問題があるように思います。
琵琶湖畔に面した日吉大社摂社 「唐崎神社」 2014.7.13撮影

3