NHKクローズアップ現代で取り上げた「卵子老化の衝撃」についての反響は大きかったようです。生理学的に有利な年齢で出産する大切さが注目され、とてもいいことだと思いますが、働く女性にとって問題がないわけではありません。
多くの日本企業にとって「いつでも転勤可能で、24時間働ける人」が良い社員とされ、「10年は企業戦士(兵隊)として」育成されるキャリアプランがあります。そして、「忠誠心」も試されているのが実態で、長い間男性が中心の企業社会でした。
働く女性にとって、そんな産めない今の職場環境や、出産後の子育てとの両立はどうすればいいのか、途方に暮れるような状況が揃っている中で、やっぱり女性はしたたかに、しなやかに自衛していかなければならないのが現状ではないでしょうか。
日本の企業の勤務評価は時間当たりの生産性ではなく、その時間を如何に経過したかという事で、入社後10年がそれに当たり、キャリアを積む時期とも云われています。つまり、女性にとっては結婚・出産にとって大切な時期でもあるのです。
女性としての「産み時」がちょうど仕事のターニングポイントとも重なっているのは、男性を中心に考えた昭和型のキャリアモデルのせいで、この問題を解決するには時間がかかりそうです。年功型の賃金制度を見直すことや、生産性を考慮した評価制度の導入がなされないといけません。
例えば、仕事内容も接待営業が中心だった昭和の時代、これは男性に向いている職業でした。ですが、現在の営業担当というミッションは、緻密な情報を、的確なタイミングで精確に伝える必要があり、体力よりも、細やかな気配りの方が大切になります。ですから女性に期待を寄せている企業が増え、客先からも女性営業の評判がとても良いと云う話を聞くのです。
非正規労働者が30%を超える現在では、やがて専業主婦と云う昭和型キャリアモデルは無くなりそうで、すべての女性が何らかの職場に携わる共働き時代が来そうです。
その為には、女性労働の見直しではなく、男性労働の見直しから始めなければならないと思います。少子化対策と云いますが「産み時」に制限がかからないような労働環境を作り出すことこそ大切だと思います。

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