農家は1960年(昭和35年)606万戸ありましたが、2010年には半分以下253万戸に減り、農業就業人口は1450万人から250万人と83%も減少し、GDPに占める農業の割合は1%になったと云います。
しかし、農協の組合員は472万人、準組合員497万人、合計約1000万人で構成されていて、実際に農業で生計を立てている人は減少し続け、なかでも生産農家の農業生産額に占めるコメのシェアは2割を切ったと云われています。
国会は、環太平洋連携協定(TTP)に関する集中審議を行い、首相は「農業は国の礎で、日本の伝統、文化そのものだ。必ず日本の農業と食を守る。これは日本の安全保障でもある」と述べ交渉を通じて農業保護に全力を挙げる考えを示し、夏の参院選挙を左右する農協の組織票に配慮したようです。
JA(農協)は、先の衆院選挙で、自民党議員にTTP反対の公約をさせて、その数が多いと云います。しかし、多くの自民党支持者はTTP交渉参加に賛成しています。このような現象は、自民党議員の多くが農家の目線に立てないでいるのではないでしょうか。
農家が衰退しているのに、農協だけが政治に力を発揮するのは、減反というコメの価格カルテルが維持できなくなるからです。米価が低下すれば、農協の販売手数料が大幅に減るし、政府が価格補償で直接農家に支払えば、農家は困らなくても農協は大いに困るのです。
政府は、関税撤廃によってコメなど農林水産物の国内生産額、約7兆1000億円のうち、4割超に当たる3兆円が失われると公表しました。また、農産物生産の減少によって日本の食料自給率(カロリーベース)が39%から27%程度に下がるとの見方も示し、食料の多くを輸入に依存するしかないのです。
これまで高い関税で国内コメ市場を守ってきましたが、コメの消費は年々減っています。今後、人口減少でさらに減ることでしょう。日本農業を維持するためにも、外国へ美味しくて安全なコメなどの農産品を販売するために、関税撤廃を求めて貿易自由化交渉を推進した方が良いと思います。TTPは日本農業発展のためにも必要だと思うのです。
愛知県緑化センター(猿投)の日本庭園にて 3月17日撮影

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