私が子供の頃に出会った最も古いスイッチは、台所兼居間の天井からぶら下がった裸電球に付いているスイッチと、真空管ラジオを点けるスイッチです。このスイッチをヒネルことで我が家の団欒ができ、父母が行う農作業の夜なべ仕事に役立ったものでした。
近頃の「スイッチ」は、電気回路を変えるスイッチの他に、野球で左右どちらも打席に立てるスイッチヒッター、線路の進行方向を変えるスイッチ、転送先を変えるネットワークスイッチ、医者の処方箋なしで買えるスイッチ医薬品(高脂血症治療薬・エパデール)など「スイッチ」という言葉がよく使われます。
一昨日、都心で降った雪の影響で、都内の交通はマヒし、高速道路は閉鎖され、電車は遅れ、都会のもろさを露呈する結果となったと、報道機関は一斉に報じていました。大雪と大地震との相関関係はなさそうですが、交通マヒは同様に起こるのではないでしょうか。
建設から40年以上経過した首都高速道路、補強工事だけではいずれ崩落の心配があります。首都高の約300キロのうち47キロの区間が老朽化していて、構造物のスイッチが求められているようです。しかし、このスイッチは莫大な費用を必要とし、切り替えが容易ではなさそうです。
「スイッチ(転用)」と云えば、働く女性の二人に一人は第一子出産の前後に退職していて、うち四割弱が「仕事と子育ての両立が難しい」として仕事を断念しているといいます。さらに、再び働く環境が出来たとしても、就職先は限られ、多くが非正規雇用(期限付き雇用)になりがちで、低賃金の職に追いやられてしまうのが実態ではないでしょうか。
つまり、ここでも女性を雇用する考え方のスイッチがなく、出産や育児を抱える女性を戦力とみない傾向を切り替えるべきで、企業環境(育児がハンディにならない労働条件・処遇)や社会の仕組み(税制、年金を含む社会保障)を根本から創り変えねばならないと思います。
少子化を乗り切るためには、女性の問題として捉える前に、男性の働き方から手をつけるべきで、他人事のように考えている男性こそ「スイッチ」が必要で、反省すべき点が多いと思いますが如何でしょうか。

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