同じ建設会社で働いていたOB5人が、久しぶりに集まる機会があり、高齢者の生き方を学んで来ました。収入を得る仕事をしているのは私と2才年上の寺の住職と二人で、あとの3人は年金生活であり、所得も国際的にみれば大変恵まれた暮らしの人たちです。
日本の高齢者は定年後も働きたいと思っている人が多いと云いますが、実際に働いている高齢者は欧米と比較してずっと少ないようです。むしろ欧米では老後を働かずにのんびり暮らしたいと思っているけれども、収入を得るために働かざるをえない人が多いようです。
高齢者の健康づくりも諸外国とでは相当違うようです。日本の医師は高齢者に「身体を使って運動をするように」と奨めるようですが、「今さら運動と云っても・・・どうして良いかわからない」と云って一見元気そうな高齢者でも、テレビの前に座ったままの人が少なくないと云います。
中国、香港を旅した時の光景ですが、朝の公園では太極拳を楽しむ高齢者の姿を見ました。まさしく自分の健康維持管理のため、「脚が動かなくなったら終わりだ」という恐怖感を常に背負う人々は、朝に夕に広場に出てきて歩行鍛錬やストレッチなど運動を徹底して繰り返すのです。
また、中国の高齢者は、保険制度の未整備から医療に対する不信感があり、薬に頼らない健康つくりが欠かせないと云います。病院はあっても儲け主義で、袖の下を要求する医者もいれば、富裕層向け高額医療機関も存在するのですが、一般市民にとっては縁のない場所のようです。
日本の高齢者は旅行や趣味に繰り出すシニア層は少なくないようですが、若い夫婦共働きは当たり前の諸外国では、孫の世話は高齢者がするという暗黙の了解があり、戦前の日本で見かけた姿のようです。核家族化した現代では、「日本の老人は子どもの面倒を見ないのか」と、外国人から質問さえ出るようです。
高齢者を地域の経済活動に如何に取り込めるか、そのことが日本経済活性化の鍵を握るのではないでしょうか。高齢者が求めているのは、自ら健康管理を行って社会から必要とされることであり、家族の役割意識を変えねばならないと思いますが、いかがでしょうか。

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