長年掛け金を払ってきた年金記録が、行政の怠慢によって誰が納めたか特定できなくて世間を騒がせ、自民党政権を支えてきた高齢者の怒りをかい、2009年政権が交代して2年になろうとしています。最近は宙に浮いた年金記録5万件、新聞やテレビの報道で全く取り上げられることは無くなりました。
日本年金機構の「年金記録問題への取組状況について」によれば、厚生年金の加入記録は本人の申し出と一致する期間が多く「抜け」「漏れ」が多いといいます。不明年金記録は、旧社会保険庁の戦後60年余に及ぶ記録突合せの放置であり、国家的規模で行われた「振り込め詐欺」とも類似する、実に罪深きものでした。
民主党の政権公約である「年金通帳」なるものも宙に浮き、新政権となっても公約すら守れないとなれば「詐欺」は再び起きるのではないかと不安が募ります。そして、マスコミも口を封じられたごとく報道しなくなり、「ミスター年金」長妻氏に期待された声も封じられたもようです。
国民総番号制(社会保障番号)を提示しなければ、銀行口座もクレジットカードも開設できず、個人の金を全て一元管理するのは先進国では当たり前のことだと云います。番号制度での個人情報は(1)税務のみとする案(2)税務と社会保障に使用する案(3)さらに幅広い行政サービスにも使うという3案が示されたと思いますが、実現されておれば、今回の大震災による義援金配分など実に素早く被災者の手元に届いたはずでした。
一人ひとりの国民が納めた税金・社会保険料と受けたサービス給付が明らかになれば、納得のいく暮らしも出来ようというものです。ただし、社会保障番号を導入しているアメリカでは、番号の盗難など「なりすまし被害」もあるようですので、国民の個人情報・プライバシーの保護など、厳重な管理体制が必要なことは云うまでもありません。

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