昨年暮れ、戦後はじめて「農地耕作者主義」をやめて、農地の利用権利(賃借権)を原則自由に使えるよう法改正が行われ、農業生産法人や農業従事者個人でなくとも、農地を利用できるようになりました。会社やNPO法人が農地を適正に利用できる事となり、賃借期間も20年から最長50年と変わりました。
ただし、違法な利用や転用は罰金最高300万円から1億円となったことも知っておく必要があります。この改正法施行により耕作放棄地や遊休農地の解消がされると言われていますが、はたしてそうでしょうか。
ひとまず誰でも農地を利用する所まで漕ぎ着けましたが、土地の所有権が自由に売買できるまで進まないと本物ではありません。
最近の農業の特殊な事情は、国内の生産価額より遥かに安値で国際競争にさらされていて、輸入規制で保護されていますが、自動車・電機など工業生産品の輸出が日本の経済の命綱となっているため、農産物の自由化を求められ、大規模農業で大量に生産する方式へ大きく変化を起こさなければ太刀打ちできるはずもないのです。
そこへ、国の農業政策が無策で、政治家達が票集めのために介在し、一時しのぎのバラマキ政策をするものですから、話はややこしくなってきているのです。その一つが農家の個別補償であり、ますます大規模農業への道は遠のいて行くのではないかと思うのです。
農業を家族内で継承していくことを前提とした日本の農業政策は、必然的に農地の細分化と「田分け」を生み、生産性を著しく低下させてしまったのです。衰退に陥った日本の農業にとって、農地売買の自由化が緊急の課題なのです。

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