戦前生まれで終戦後育ちの私は、子供のころの写真が現代のように数多く残っているという事はありません。もちろんカラーや動画などあろうはずがないのです。そんな中、ほんの少しの白黒、いや、色あせた写真を見るにつけ当時の事を思い出します。
私が小学校に入る前に、写真館で姉と撮った写真が残っていて、私の息子達が同じ年代のころと比べてみると、ホントによく似ているので感心しました。昨年孫が生まれて、息子の幼かった頃の写真と比べてみると、これまた不思議なのです。
写真はシャッターを切った瞬間、時が止まります。したがって、何十年も前に自分の親と同年代の自分とが、顔写真で見比べることができます。
病気とたたかって早い時期にこの世を駆け足で去って行った父の歳を私は越え、写真は私より若い父の写真と比べることとなりました。
当時の父は、終戦後の厳しい時代でしたので髪の毛を伸ばした事がなく、常に丸坊主で、時々母がバリカンで刈っている姿や、古い写真に国民服が似合う父が写っていたことを思い出します。
私が中学生のころ姉に男の子が生まれ、初節句に家族が寄り集合写真に父が写っていて、笑顔が印象的でした。翌年帰らぬ人となったのですが、その孫も50歳を越えました。
古い写真と言えば、私の祖父は日露戦争出兵前の写真が、たった1枚だけ残っています。プロの写真屋で撮ったものと思われ、軍服姿に銃剣を持っていて、色は茶色に変色していますがピントが合っていて、家族を残して旅順に出兵した若い軍人の姿がクッキリと写っています。
時は流れ、写真も移り変わっていきます。アルバムはCDになりましたが、被写体は時間が止まった瞬間を正直に表現しています。いや、今ではトリミングや色の調整、鮮明度などパソコンで自由自在ですから、正直ではないかもしれません。しかし、数多くの写真から、やがて思いだして見たとき、今より幸せになっていたいものです。

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