旧式のヘリコプターである。空を飛ぶ鉄のイナゴ。
平地でヘリコに狙われたら歩兵はまず助からないと言われている。猛烈な機銃掃射でなぎ倒されてしまう。充分な遮蔽物がある市街戦なら話は少し変るが、逃げるよりその場にふん張ってでも5.56ミリで応戦する方が生き残る確立は高いとされる。ところが、歩兵がRPGやスティンガーを携行していると立場は一遍してしまう。特に後者は赤外線追尾方式なので一度ロックされたら、ヘリコはひとたまりも無い。
終戦まぎわに父が福井の操車場でグラマン戦闘機の機銃掃射に遭った話を良く聞かされた。パイロットの顔が見えるくらいの距離からバリバリとやられたらしいのだが、グラマンはヘリコと違い小回りがきかないので危うく難を逃れたそうだ。勿論、貨車の鋼鈑は貫通しており、鋼鉄の太い動輪にも機銃弾がメリ込んでいたという。防戦しようにも武器弾薬はほとんど無かったらしい。
ブラックホークダウンというソマリアを舞台にした映画があった。これには市街戦でのヘリコの弱点が良く描かれている。敵の支配地域で武器が小火器であっても不特定の多方向からローターを狙われると墜落の確立が高くなる。小銃といえどもフルメタルジャケット(徹甲弾)だ、車のドアや一般家屋のカベなどはプスプスとたやすく貫通してしまう。映画ではRPGで狙ったシーンとなっていた記憶がある。
砂漠の嵐作戦(イラン米国大使館人質救出作戦)は、ヘリコが原因不明の墜落をして中止となった。実行部隊はデルタフォースである。もちろん、この時ヘリコにチャック・ノリスは乗り込んではいなかった。

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