国道274号線 (札夕線)の北広島・西の里に「同福堂」という中華料理店がある。ちょうど西の里空手倶楽部の猪俣支部長が経営される自動車工場の斜向かいだ。ここは拙宅に近いということもあって週末などに家族で利用している。店主さんご夫妻は日本の方ではあるが、出身が中国東北部で、低料金で本格的な中国の家庭料理が楽しめる。多人数の来客がある時などは予め電話で注文を入れ、皆で訪れると即席満漢全席のお出迎えとなる。ご夫妻はここで二十年近く中華料理店を営まれているが、特にここのご内儀は福相を絵に描いたような中国風の美人で、いつも明るい笑顔で、「称好、来々!いらっしゃいませ!」と出迎えてくれる。
双喜字が施された扉を引くと店の奥、厨房の入り口の壁に
「好人一生平安」と墨書された額縁があり、これがひときわ目を引く。私はこのことばが大好で、いつも何度も読み返す。ハオリェン・イィシャオ・ピンナン、よき人に一生平安あれ・・・とでも訳すのだろうか、とにかくこの六文字が大好きだ。これには言葉や習慣の異なった土地で育ち、帰国されてから永くご商売を営まれるご夫妻の人柄が表されているような気がする。何かと腹立たしいことが多い昨今だが、そんな時私はこの六文字「好人一生平安」とこの店の料理を思い浮かべることにしている。好人一生平安。諸兄諸氏も一度試みられてはどうだろうか。
もっとも、料理の仕上がりは大陸的作法のためか、少しゆったりと仕上がるので、日頃せっかちだった私の気性も、今ではだいぶ穏やかになっている。


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