今日、帰宅したら実家の父から酒が届いていた。
父の実家は滋賀に近い越前で、杜氏が多い集落であった。本人も御他聞にもれず酒豪である。体調を崩す三年前までは私より酒が強く正月などは朝から一升酒は当たり前で相伴の私も中途で音を上げるほどであった(苦笑)。
届いた酒は・・・会津の地酒・猫魔の雫。それにどういう訳かボジョレーヌーボー・・・???。今週の日曜日が私の誕生日でその祝いの品と云ったところではある。ではあるが、なるほど・・・。そう云うことか・・・。
なぜこのチョイスになったか・・・それは皆目見当が着くはずも無く、また、どうでも良いことだ(笑)。こちらは礼儀正しく、有り難く一気に諸白を胃袋から腸に納めさせて頂くのみである。それが孝養と云うものだ。
実は、届けられた酒に気付いたのはドラフトワンを一気飲みし、バーボンをチビチビやっている時であった。一寸嘗めては木刀を振りまた一寸。会津の酒に仏国の酒・・・壬生義士伝の話の後なのであまりに出来すぎた贈り物ではある(笑)。
そう云えば子供の頃、土曜日は父と京阪の中書島駅横の公園や八坂神社、桃山御陵辺りを散歩した。近所には父の郷里の杜氏がいる月桂冠の酒蔵蔵が立ち並び、家の向の好み焼き屋の香ばしいソースの匂いが懐かしい。
私は毎朝出勤する父にお早うお帰り!=E・・(無事で早く帰って来てね!)と京都弁で言っていたのをいまでもハツキリ覚えている(笑)。平日の父は付き合いが多く、深夜にいつも微薫を帯びて帰宅するのが常であった。
しかし、どう云う訳か母は私が生まれるまで私が女児であると思い込み、春海と云う名まで考えていたと云う。これは母の生前に何度か聞かされたことがある。
猫魔の雫・・・気骨があって潔くスッキリ・・・しかし舌に絡む旨い酒だ。病床で黒猫を斬ろうとして果てた沖田は賄いの老婆に、婆さん、オレにはもう斬れないと言って瞑目したと云う。
今日、届いた酒は血露では無く命の雫・・・ではあるか(笑)。
せめて有り難く拝領。
・・・今、外箱の能書きを読んで思い出した・・・これは会津・末広酒造の酒である。末広の壺中春は母の通夜の席で私がついつい飲み過ぎ酔っ払って本堂のドラや太鼓を叩き廻して大いに席を賑わし、盛り上げた?酒でもあったのだ(苦笑)。
もっとも、決して母はその手のことで私を咎める人では無かった。

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