バカというのは、差別語ではありません。
人間の本性にひそむ暗黒の部分のことです。人間は一人で歩いているときは、たいていバカではありません。イヌやネコとおなじくらいかしこいのです。行くべき目的も知っていますし、川があればどうすればよいか、ちゃんとわきまえています。
これは司馬遼太郎が「ひと 文化 ネパール―第一回大阪・アジア文化フォーラム」での文章の冒頭部分である。
このあとに続く文章は僕のバカ論とは異なってくる。
だけど、ここまでの文章を僕はとても素晴らしいと思う。
僕は彼の生み出す話もすきだけど、彼の編み出す言葉もすきである。

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