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2013/2/19

『演劇1』『演劇2』  映画道

『演劇1』

2012年日本・アメリカ映画 172分
監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作補佐:柏木規与子
出演:平田オリザ、青年団・こまばアゴラ劇場の人々


『演劇2』

2012年日本・アメリカ・フランス映画 170分
監督・製作・撮影・編集:想田和弘
製作補佐:柏木規与子
出演:平田オリザ、青年団・こまばアゴラ劇場の人々、前原誠司(民主党議員)、細野豪志(同)、竹内功(鳥取市長)、平井伸治(鳥取県知事)、石黒浩(大阪大学教授)


   


日本を代表する劇作家で演出家の平田オリザと、彼が主宰する劇団・青年団。『演劇1』は、その創作現場にカメラを向け「平田オリザの世界」を徹底解剖する。台詞や動きがあまりに複雑かつ自然な平田作品を、即興の産物であると勘違いする観客もいる。しかし、台詞はすべて平田によって戯曲に書き込まれ、俳優の動きや仕草は細心の注意を払って練り上げられたものである。したがって、稽古場は修羅場と化す。現実世界を原寸大で再現した、精密モデルのような超リアルな舞台の裏では、極めて不自然で徹底的な操作が行われているのだ。「“本当の自分”などない。人間とは“演じる生き物”であり、あるのはペルソナだけだ」と平田は喝破する。想田和弘監督は、戯曲の執筆、稽古、照明、美術、劇団運営の実際など、あらゆる活動に密着し、その哲学や方法論、組織論を描き出す。同時に、人類誕生以来、太古の昔から続いてきた「演劇」という営みに挑むのだ。
演劇とは、コストも時間もかかる超アナログな芸術である。逃れがたく経済が付き纏う。青年団の事務所には『三文オペラ』の文句が掛けられている。「まず食うこと それから道徳」。しかし、不況と財政難で公的な芸術関連予算は縮小傾向に。この逆境に対する平田の戦略は、シンプルかつ遠大なものだった。「演劇が社会にとって必要不可欠である事」を世間に納得してもらおうというのだ。平田は文字通り東奔西走する。教育現場や地方の演劇祭、果てはメンタルヘルスケア大会まで、その知識とノウハウを伝えていく。政治家への働きかけも積極的だ。他方で、海外進出やキラーコンテンツとしての「ロボット演劇」など、助成金に頼らない劇団経営を模索する。『演劇1』が「平田オリザの世界」ならば、『演劇2』は「平田オリザと世界」を見つめる。それは、演劇という芸術を通して、高度に資本主義化された現代社会を問い直す試みでもある。【公式サイトより】


想田和弘監督による観察映画第3弾・第4弾。

『演劇1』では青年団の作品がどのように作られていくかに焦点が当てられ、稽古風景やセットの組立、本番の様子などが映し出されていく。平田オリザさんは片時もノートパソコンを手放さず、台詞のタイミングを細かく指示し、台詞もその場で書き換えてパソコンに打ち込む。
中では、予告篇でも使われていたが、平田オリザさんが15分間の休憩の間、仮眠を取り、そのイビキが高らかに響き続ける。そして15分が過ぎ、起こされるとすぐに稽古再開。これぐらいのバイタリティがないと長年、演劇界で活躍はできないのだろうな。
中学生相手のワークショップの様子もあったが、撮影されたのは2008年なので、中には高校生や大学生になって演劇を続けている子もいるんだろうか。いや、いて欲しいなぁ。

青年団で唯一観たことのある『火宅か修羅か』の舞台の組立では、志賀廣太郎さんまで作業していた。最後はその志賀さんの還暦祝いで、『火宅か修羅か』の一場面を利用してのサプライズ演出。ここではまさに平田オリザさんは平田オリザさんを演じていて、それがおかしくて仕方なかった。
ところで、「ハッピーバースデー」の歌声がオフになっていたのは、著作権の都合なんだろうか(笑)。

『演劇2』は主に鳥取県の中学校でのワークショップや鳥の演劇祭、ロボット演劇、ベルギーでの公演で構成。演劇と社会との関わりに重点が置かれ、個人的にはこちらの方が興味深かった。

人間は演じる生き物であるが、前原氏や細野氏など出てくる政治家がこれまた政治家を演じているようにしか見えない(笑)。鳥取県知事もさぁ、オリザさんから著書『芸術立国論』を渡されたにも拘わらず、それには何の関心も示さず、ラスクばかり勧めてるんじゃないよ。絶対、読んでないだろうな。

『演劇1』での演出の様子を見ていると、オリザさんがロボット演劇にこれほど熱心なのも頷ける。あいちトリエンナーレ2010で上演されたロボット演劇も観たなぁ、なんて思っていたら、当のあいちトリエンナーレのお偉いさん(?)が上演の打診に来ている様子が捉えられていた。
奥様ひらたよーこさんの姿もあったが、2011年に離婚されたそうで。

興味深かったのは、メンタルヘルス学会での講演。
日本は頭と体には予算を使うのに、心には使わない。年間3万人が自殺する日本において(昨年は下回ったようだが)、芸術によって心を豊かにすることが実は一番安上がりな対策というのも面白い。芸術手当てが本当に実現したらいいのに。

そして最後は眠りながら演出するオリザさん。すごい(笑)。


『演劇1』★★★
『演劇2』★★★1/2

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