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2009/8/30

シス・カンパニー公演『怪談 牡丹燈籠』  演劇道

シス・カンパニー公演『怪談 牡丹燈籠』

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2009年8月6日(木)〜8月31日(月)
Bunkamuraシアターコクーン
S席:9,500円  A席:7,500円  コクーンシート:5,000円

作:大西信行  演出:いのうえひでのり
美術:二村周作  照明:原田保  音響:井上哲司
衣裳:前田文子  映像:上田大樹  ヘアメイク:河村陽子
舞台監督:菅田幸夫、芳谷研
プロデューサー:北村明子

出演:段田安則(伴蔵)、伊藤蘭(お峰)、秋山菜津子(お国)、千葉哲也(宮野辺源次郎)、瑛太(萩原新三郎)、柴本幸(お露)、梅沢昌代(乳母・お米/お六)、大河内浩(飯島平左衛門)、松澤一之(良石和尚/八州見回りの同心)、市川しんぺー(馬子久蔵)、西尾まり(お竹/お梅)、保坂エマ(お絹)、粕谷吉洋(丁稚・定吉/下っ引き)、森本健介(三遊亭円朝/目明し/百姓)

浪人の萩原新三郎に恋い焦がれた末に命を落とした旗本・飯島平左衛門の娘、お露。お露の死の報に、念仏三昧の日々を送っていた新三郎のもとに、ある夜、後を追って死んだはずの乳母のお米を伴い、お露が姿を現した。新三郎が死んだと聞かされていたと言うお米は、これは平左衛門の妾・お国が二人を別れさせるための策略だと新三郎に告げる。一方、お国は愛人・宮野辺源次郎と一緒になりたい一心で家督乗っ取りを企み、平左衛門と奉公人のお竹を殺害。源次郎も足に大怪我を負う。新三郎のもとには夜な夜なカランコロンと駒下駄の音を鳴らしながら、牡丹燈籠を手にした幽霊二人が通いつめる。二人の逢瀬をのぞき見た新三郎の下働き・伴蔵の目に映ったのは、髑髏を抱く新三郎の姿。伴蔵は死相さえ顔に出て来た新三郎を新幡随院の良石和尚のもとに連れて行き、お露とお米が既にこの世の者ではないことを納得させる。和尚は幽霊封じのために金無垢の海音如来を授け、陀羅尼経が書かれた魔除けの札を戸口に貼り巡らすように言う。しかし、今度は幽霊が伴蔵のもとに訪れ、お札を剥がして家に入れて欲しいと懇願。お札を剥がせば新三郎の命はないが、幽霊の祟りも恐ろしいと迷う伴蔵に、女房のお峰は幽霊に百両を持ってこさせればいいと提案する。翌日、新三郎が行水をしている隙に海音如来をすり替えた伴蔵のもとに百両が届けられる。伴蔵が意を決してお札を剥がすと、幽霊は新三郎の家に入って行く。一年後、伴蔵とお峰夫婦は江戸を離れ、故郷・野州栗橋で関口屋という屋号の荒物屋を始め、大店の主人と女将に納まっていた。ある日、お峰の友人・お六が店を訪ねて来る。お峰は夫を亡くしたお六を雇い入れることにする。一方、同じく栗橋に逃れてきたお国は不具となった源次郎との生活を支えるために茶屋・笹屋の酌婦となり、伴蔵が通い詰めていた。馬子の久蔵に鎌をかけてお国との関係を聞き出したお峰は、お国、お梅、お絹に送られて帰宅した伴蔵を問い詰める。一年前の悪事を暴きたてようとするお峰に慌てふためいた伴蔵は、心を入れ替えて笹屋に通うのを止めると約束する。

三遊亭円朝作による落語を基に小西信行さんが文学座の杉村春子さんのために書き下ろした戯曲を劇団☆新感線のいのうえひでのりさんが演出。文学座以降、歌舞伎での上演が多くなった本作だったが、いのうえさんはオリジナル脚本を採用。

「怪談」と名がついて幽霊は出てくるものの、取り憑かれて怖い恐ろしいという話ではなく、お露のまっすぐな思いが印象に残る。お札を貼り、海音如来をお守りにしていた新三郎も、それでもなお逢いに来たお露に恐怖よりも愛情を感じていたのではないだろうか。
元の戯曲にあるのかどうか知らないが、もう出番はないものと思っていた二幕に新三郎とお露、お米が楽しげに街道を歩くシーンを見てそんな思いを尚更強くした。

実際、お露と新三郎の物語は前半のみで、核となるのは伴蔵とお峰の夫婦。
一幕では貧乏暮らしでお峰は夜なべして針仕事の内職で家計を支えていたが、二幕では幽霊から手に入れた百両を元手に荒物屋を開いてからは一変、羽振りのいい暮らしに。
それでよかったかと言えば、お峰は隣に住んでいたお米に昔の方がよかったとこぼし、茶屋の酌婦になったお国に入れあげる伴蔵との夫婦関係もぎくしゃくしはじめる。
この伴蔵・お峰の夫婦とそこに絡んでくるお国・源次郎の2組の男女を通じて描き出されるのは、人間の業や欲といったもの。それが時には幽霊よりも恐ろしく悲惨な結末をもたらすことになる。
いつもとは違って派手さ控えめのいのうえひでのりさんの演出は、回転舞台や映像も効果的に用いて現代にも通じる人間ドラマを浮かび上がらせた。ネット上では新三郎とお露のキスシーンに批判があるようだけど、そんなのどうということないと思うんだけどなぁ。

役者陣では伊藤蘭さんが意外とハジけていてびっくり。
段田安則さんとの掛け合いもテンポよく、気風のいい女房っぷり。
パンフレットでは約27年ぶりの共演と書かれていたけど、それは多分舞台の話で、TBS『グッドニュース』では最後に結婚するという役どころ、同じくTBSの『新しい風』でも共演していたので念の為。
これが初舞台となる瑛太くん、2度目の柴本幸さんというフレッシュな2人も好演。二役を演じる梅沢昌代さんもハマり役だった。



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