元暴走族リーダーが操舵する、高速船はしけの中を速度を落とすことなく
波の中を突っ込んでいく。
相方は恐怖で半泣き状態だ。
偏西風が大きく南へ蛇行しEast Caina Sea(東シナ海)は大荒れ
列島の年末年始の大荒れは石垣島も例外ではない。
八重山諸島の中心は石垣島。西表島、波照間島、竹富島などには高速船が結んでおり
これが結構便利。便数も多く信じられないくらいアクセスがいい。
西表までなら30分、竹富ならわずか10分で着いてしまう。
しかしその代償は大きい。容赦なくスピードを出す。
波が来ようと、風が吹こうがお構いなし。
船は大きくジャンプする
「揺れる」、という感覚ではなく「飛び跳ねる」「飛び込む」
そんな感じだ。
港から同時刻に出発する数隻が、争うようにスピードを上げていく。
後方のスクリューから飛び跳ねる水しぶきはまるで
ドラックレースのエキゾーストとダブってしまう。
まさに戦場・・・。
船内には女性の悲鳴が響きわたる。
港に着くと、もうふらふら。
いや、違う。それは観光客だけだ。島の人たちは極めてふつうだ。
操舵室からはサングラスに金髪パンチのお兄さんが、勝ち誇ったように
桟橋に降り立ち、たばこを吸っている。
恐るべし島人(しまんちゅう)。


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