旅の目的はアンソニー島、かつてハイタ族の集落があった場所。
今は無人島。
なぜ?200年ほど前天然痘が流行り村が壊滅していった。大陸の白人がこの疫病を持ち込んだ。
ここに残されたトーテムポールは少なくとも200年前の物、今は10数本が立ち並び、枯れて倒れてしまった物は数知れない。
ハイタの人たちが住んでいたログキャビンの家も残されている。
島は海岸まで山がせまり、森は深い。ごくわずかな海岸に集落があり共同で生活を営んでいたのだろう。倒れたトーテムポールには苔が生え自然へ帰って行く。
ガイドは言う。
「森と海とクジラと共に生きていた。」
「森には大鹿が住み、海にはクジラやシャケがいる」
「生活に必要な量だけ獲り、獲った物は皮や骨まで利用する。決して無駄にはしない」
トーテムポールには動物をデザインした物が多いが、これは共生も意味している。
「ハイタ族がこの島を負われたのは白人の責任。ヨーロッパからの移民はカナダ西部の深い森、すなわち材木に目を付けた。どんどん木を伐採し森を破壊しインディアンを追いやってしまった。」
「大陸だけではあきたらず、とうとうこの小さな島までやってきた。天然痘という恐い病気を持って。」
「自然と共に暮らしていた免疫力の弱いハイタの人は次々と倒れて、とうとうこの島を手放してしまったのだ」


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