今日は父は病院の定期検診の日なのでデイサービスはお休みです。
母には申し訳ないけど、父の付き添いは母に任せて私は映画鑑賞に
行かせてもらいました。
(母は個人的に映画はよく見に行ってるのでたまには私も・・・)
今日見に行ったのは、上映期間がけっこう短いので是非見ておきたかった
「遺体〜明日への十日間〜」です。
一人の小説家が東日本大震災の遺体安置所で見た事を書き留めてまとめた
本を題材に製作された作品なので、内容はノンフィクションです。
遺体安置所が舞台とはいえ、さすがに遺体に関してはある程度ぼやかす
だろうと思っていましたが、案外はっきりと現状を映し出していました。
全裸で泥だらけになった遺体、口の中にどろが詰まった遺体、硬直した
遺体。
もちろん、それは特殊メイクされた遺体役の役者さんたちなわけですが
改めて当時の惨状を思い知らされた気分でした。
海外はわりとむごい惨状を真正直にテレビ放映したりしますが、日本は
「人権」をいい意味でも悪い意味でも極端に尊重する国なので
被災した現場や生き残った避難所の人達の映像はたくさん流しますが、
それでもだいたい撮影できる場所は限られているので同じ現場ばかりが
繰り返し流される場合が多いです。
赤潮で海に浮かんだ魚の死骸の群れのごとく、津波で亡くなった人達の
遺体が海岸線に浮いていたというのも口頭や文章で知るのみ。
不謹慎な話、その状況が見たいというわけではありませんが、テレビで
知るのは犠牲者の数だけ。
毎日少しずつ増えていく数字。
数字の多さでその悲惨さはわかりますが、何かピンとこないものが
あるのです。
私としては、単なる数字で片づけられている気がして。
そういう意味では、今回の映画のように、実際安置所で働くスタッフの
奮闘や遺体の状況、扱われ方を見ると、その数字がリアルになって
きます。
そういう悲惨な状況を目の当たりにしてトラウマになり、その震災に
直接関わっていなかった人でも生涯引きずる人達もいますが、悲惨な
状況を見て辛く思った事を全て「トラウマ」という形で片づけて
欲しくないというのもあります。
「記憶」として残して欲しいのです。
当時の事を忘れて欲しくないのであれば、風化させたくないのであれば
苦しいかもしれないけど、その辛い「記憶」を後世に伝えて行くべき
だと思うのです。
そのためには記憶にふたをしてしまってはダメなんです。
上映期間が短いのは残念ですが、出来るだけ多く、出来れば若い人たち
にも見て欲しい作品だと思います。
この作品を見るにあたって、きっと館内で号泣してしまうんじゃないか
と思っていましたが、不思議とそれほど涙は出ませんでした。
こみあげるものはありましたが、身内と対面できた亡くなられた人達、
逆に亡くなられた身内に対面できた家族の姿を見て安堵の気持ちと辛い
気持ちが入り乱れて不思議な感覚に襲われました。
「泣き」の演技って一種独特のものがあって、上手くてもやっぱり
それは演技の上での泣きだというのがわかるものですが、今回の作品では
本当の人間の自然の泣きの姿と言うか、本当に悲しい時に出す人間の
声がリアルに表現されていたのが印象的でした。
製作したのは「踊る大捜査線」の君塚・亀山コンビでしたが、いかにも
見せようとするエンターテイメント性は一切ないです。
ちゃんとしたドキュメント作品になっていました。
たぶん、テレビ放映される事はないと思うので、出来れば映画を見て
欲しいですね。
被災を受けた当事者ではなく、出来れば部外者の人たちに。
【本日の夕食】
★サゴシの黄身焼き
★野菜のお浸し(菜の花・人参・もやし・タケノコ)
★豆腐と揚げの味噌汁

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