D案を元に田村さんの事務所で詳細にわたり打ち合わせがありました。
こだわったところはトイレ。
1.5畳だった広さを2畳にして欲しいといいました。
介助者も一緒に車椅子で入れるようにです。
すると玄関の広さに支障がでました。
下駄箱を置くスペースが十分に取れなくなったのです。
しばらくして息子さんがアイデアを出してくれました。
息子さんは打ち合わせをするとき、いつも一緒です。
まだ見習い中と思っていましたが、お父さんと肩を並べる力を持っていたのです。
そのアイデアとは、
北側の水回りを南北に一尺(30cmほど)長くする方法です。
それによって、玄関・トイレ・クローゼット・洗面脱衣・浴室がわずかに広くなり、
収納もアップします。
心配なのは建坪が増えること。田村さんは電卓をたたきました。
ちょっとうれしそうな顔をして
「ふ〜ん、2坪ほど増えるだけですね」
私は手をたたいて喜びました。
もうひとつ気になるところは玄関から入たホール(廊下の役割をしています)
南に面したキッチンの裏側になり、ホールの南面には本棚があります。
お客様を迎えるとき、色や形も違った本が乱雑に並んたホールを通るのは
美観を考えて避けたいと思っていました。
また、床の間が欲しいという母の為に、母の部屋に造ろうとしました。
すると和室が4.5畳になってしまいます。少なくとも6畳は欲しいものです。
みんなで頭をひねりました。
そのとき、田村さんが思いがけないアイデアを出してくれました。
それは、
床の間をホールに持っていく、というものです。
その発想に驚き、そして満足しました。
母の部屋は6畳のまま。殺風景なホールが趣のあるスペースになりました。