WBCの決勝戦はなかなか迫力があった。我が家では、ふだんは野球にあまり興味を示さない長男さえ、食い入るように画面を見つめた。2次リーグから見始めた長男は、選手の名前を僕より早く覚え、バッターボックスに選手が入るたびに「ワタナベ!」や「オガサワラー」と、僕でさえ親しみのなかった名前を叫んでいた。
しかしキューバは怖いねー。一振りすればみんなホームランになりそうな当たりを連発するし、日本が点をとってもとっても、すぐに追いつかれそうな恐怖感があった。
それにしてもESPNの中継アナウンサーが、日本チームの王監督に敬意を表してか「オーサン」「オーコントク」と連呼していたのには笑った。
でも日本の選手って、いつから抱き合って勝利の喜びを表すようになったのだろう。
もともと恥ずかしがり屋が多い日本人って、これまで日本シリーズで勝ってもせいぜい握手どまりだったと思ったのに、今回の優勝ではナイン同士がお互いハグハグしまくってて、ちょっとキモワリーと思ってしまった。
イチローが始めたのかな。これがメジャー流の喜びの表現なんだよ、とか言って、チームメートに広げたのかもしれない。
日本ってそういえば、変なものを変な風にはやらせちゃうところがある。言葉遣いにしても、ガッツポーズなんかにしても。例えば日本のスポーツ記事に多い「●●選手がチームメートとハイタッチで勝利を喜び…」という表現。「ハイタッチ」って、何でっか? 「ハイファイブ」のことか? 少なくとも西海岸じゃ、「ハイタッチ」なんて言い方聞いたことがないぞ。きっと現場にいた英語のできない記者が、ハイファイブの日本語訳が思いつかずに「ハイタッチ」なんて和製英語を考えたのかな。
それにホームランを打ったときや点を入れたときに、こぶしを下から手前に勢い良く持ち上げて、相手に対してこれ見よがしに決めるガッツポーズをするスポーツ選手が多いけど、あれはこっちじゃ「中指ポーズ」に勝るとも劣らぬ相手を侮辱するポーズって言うこと、知ってんのかな。
アメリカの言葉や慣習が変な形で日本に伝わってしまうのが怖い。今度日本へ帰った時に、再会を喜ぶ友人からぎゅうぎゅうハグされたりしたらどうしよう。「ハイタッチだぜ」とか言われて「は? はいたっちって、何?」とか言っちゃったら、友達はどんな反応するだろう。だって日本人同士でハグするのはやはり気恥ずかしいし、聞いたことのない和製英語ってやっぱ言いにくい。
それにしても、日本の優勝おめでとう。やっぱ母国が勝つとうれしいっすね。トリノでは荒川金だけだったから、反動からか、なおうれしいっす。

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