2007/12/29  21:28 | 投稿者: 益子

 新幹線の中やマイ宿での就寝前の時間に吉村昭の「私の好きな悪い癖」というエッセイを読んだ。あとがきの一部を引用。「エッセイは小説を書く私の素顔である。(中略)私の素顔は一つだけしかなく、それをいじってしまえば素顔ではなくなる。素直に自分の素顔はこうなのですと伝えることによって、読者との結びつきが生じる。」私と吉村氏との結びつきはどんどん強くなっていく。
 ところで2007年の読書は30冊程度だ。2006年より少なかったが、まあ、いいだろう。自分としては充実していたと感じている。
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2007/12/2  8:25 | 投稿者: 益子

 柳田邦男の随筆集「『人生の答え』の出し方」を読み終えた。ここ数年に新聞や雑誌、本の解説等で書いたものを集めている。「言葉の力、生きる力」と同じように、言葉の持つ力を説き、現代人の『魂の復活』を訴えている・・・そんな感じだろうか。「言葉の発見者」「言葉を使う医師」「言葉遊び」「言葉の背景に黒々と広がる闇」そんな表現を使いながら、彼の心を捉えた、写真集や本、それを書いた人の仕事ぶり、社会に起きた事件などを紹介している。
 柳田さんの感性にはいつも驚かされる。物を見て感じる心が豊かだということは、ずいぶんと人生の意味を変えていくものだろうと思う。「感じる」という心の動きは、その人の中にどんな「言葉」があるのかということに大きく関係があるだろう。
 先日、横浜に行った時に、地下鉄の中でこどもを抱いたお母さんと隣に座ったお父さん、それぞれに携帯でゲームを楽しんでいた。そんなお父さんとお母さんも、子供に絵本の一つも読み聞かせてくれているかもしれない・・・そう祈りながら眺めていたが、柳田さんの本を読み、半歩進んで自分にできること?そんなことを考えた。
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2007/10/29  20:38 | 投稿者: 益子

 このブログは読書記録も兼ねているので読んだ本は一応、挙げておこう。10月のはじめごろだったか瀬戸内寂聴の「老春も愉し」を読んだ。1997年から2007年までの10年間の新聞や週刊誌等に発表したエッセイで、その時、どんな仕事をしていたがわかるものを集めてある。源氏物語の現代語訳を出版したのが1998年。もういつ死んでいいと思ったそうだが、その後、歌舞伎、能、文楽に挑戦したり、絵本を出したりと85歳の現在までエネルギッシュに書きまくり、活動しつづけている。
 とても立派な作家もアルツハイマーになって晩年を過ごしたという例もある。文章を作っていればぼけないということでもないのだろう。なにかに興味を持って夢を持ち続けるというのが若さの秘訣だろうか。
 長生きしたいというのではない。それでも、どうせ生きていくなら、いい歳のとり方をしたい。ちょっとステキな年寄りでいたい。そんな風に思う昨今である。
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2007/10/28  20:23 | 投稿者: 益子

 この土日がのんびりした。昨日は台風の影響で雨がかなり降った。夕方から39年ぶりに行われた小学校の同窓会に出席した。懐かしいという思いは強くあったが、二次会にまでいって話をしたいとは思わなかった。今日は実家に顔を出したがそれ以外は家で過ごし、昨日、今日でふぉん・しいほるとの娘(下)を読み終えた。
 幕末から明治にわたる激動の時代を産科の医師として生きた彼女の人生を軸にシーボルトゆかりの人びとの生き様を通して書かれた歴史書ともいえるかもしれない。日本や日本の将来、あるいは日本の医学などを本気で思い、自分の生の意味をそのことのために尽くすことだと邁進していく多くの男たちが登場した。そういった登場人物の熱い思いがぐいぐいと伝わってくる面白さが心地よい読後感をもたらしている。
 尊皇攘夷だ、開国だ、倒幕だ、薩摩だ長州だ・・・このあたりの混乱がどうもよくわかっていなかったが、少し理解が進んだようにも思う。
 ところで、この読書三昧は修学旅行の疲れを癒しつつ、明日からの勤務への逃避みたいな部分もあったように思う。それもいいだろう。頭をからっぽにして明日の朝を迎えようかと思う。
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2007/10/22  22:09 | 投稿者: 益子

 例によって吉村昭の幕末のお話を読んでいる。(上)ということでまだ半分だが、かなり厚い一冊だった。娘の話というよりはその父であるシーボルトと母である長崎の遊女「其扇」の話でほとんどが占められている。最後は、混血児であるお稲が、父の血をひいて大変に賢く、母の反対を押し切ってまでも学問をしたいという意思を示すので、母もようやく許し、四国のシーボルトの弟子の医者のところに行くという話で終る。お稲はまだ14歳。日本の中で唯一貿易を許されていた長崎の街の様子や、どんな方法でオランダや唐との国交があったかとか・・・様々な風習、飢饉の様子、日本のそのころの医学のレベルなどなど本当にありとあらゆる江戸時代の歴史がよくわかる。莫大な資料を集めるのだろうね。本を書く時には。「下」の方もぼちぼちと読み進めたい。これもかなり厚い一冊。
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2007/10/1  18:09 | 投稿者: 益子

 父の病院の診察日だった。運動会の代休で休みだったので付き添った。一人でいけないわけではないが、物忘れもひどくなっていて少し心配。2時半の予約でよばれたのは4時すぎ。多分そんなことだろうと思って、病院の地下の本屋へ本を買いに行った。簡単に読める本と思って、がばいばあちゃんの第二弾にした。案の定、呼び出される前に読み終えた。一冊めにはでてこなかった知的障害のおじさんの話はジーンと来てしまった。まだまだいろいろなエピソードのありそうながばいばあちゃんと島田洋七さんだ。
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2007/9/25  19:00 | 投稿者: 益子

 夕べ、寝つきが悪いので軽い本を読もうと思って「佐賀のがばいばあちゃん」を読んだ。切ないほど貧乏なのに明るく強くそして心豊かに生きていくがばいばあちゃん。泣ける。笑える。考えさせられる。人の心の大事な大事なものが失われていく時代なんだろうか?今っていう時代は・・・・。
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2007/9/24  13:27 | 投稿者: 益子

 せっかくの連休中に本を一冊・・と思って吉村昭の『海の祭礼』を手にした。面白かった。
 前回の間宮林蔵と時代は同じ幕末のころの話。日本を夢見て捕鯨船からの漂流を装って入国したインディアンとの混血のアメリカ人マクドナルドに長崎で英語を教えてもらった通訳森山が、ペリー来航など、多くの諸外国との交渉に通訳として活躍していく。前半はマクドナルドが主人公のようだが、後半は森山か・・・それとも幕末の日本そのものが主人公なのかなあ。人々の心の内部にも言及しながらもあくまでも中立な立場で細部にわたり調べつくした史実を、淡々と並べているだけのような吉村氏の作風にすっかり魅せられている。中途半端にしか歴史をしらない私にとっては歴史の再認識にもなるが・・・その時代に生きた一人ひとりの人間の真摯な生き様のひとつひとつが歴史を作ってきたんだなあなんて感慨にふけったりしている。淡々としているが故に人間ドラマの重みや作者の登場人物への暖かな想いが伝わってくるのかな。今、読後の後味のよさに浸っている。
 昨日から涼しくなっている。暑さ寒さも彼岸まで・・・かな?ホント?
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2007/9/17  20:46 | 投稿者: 益子

 例によって吉村昭を読んだ。樺太が大陸と陸続きの半島なのか、それとも島なのかを探検し、島であることを確認した世界で最初の人。地図なんてなんだか当たり前のもののような気がするけれど、多くの人の情熱、苦難や努力、そんな歴史が刻まれているんだねえ。あまりにも淡々とした吉村さんの独特の文章。林蔵の人となりが色濃くでてくるまではちょっと退屈な感じだったけれど、林蔵のイメージが自分の中にできてくると、その淡々さがかえって読みやすい。
 話は変わるけれど今日はひどく暑くて・・・異常な天気だった。
 夕べ、夫の両親からもらったとっても上等な牛肉を夕飯に食べた。とろけるようだった。息子は明日帰る。
 連休はこれにて終了。4日がんばればまた3連休。
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2007/9/1  8:36 | 投稿者: 益子

 夏休みの宿題をやりたくない小学生のごとく何かに抵抗するような感じで読書。向田邦子の思い出トランプを読んだ。短編集。誰でももっているだろう、弱さ、後ろめたさ、そんなものをちょっと冷たい文面でトントンとスピードのある展開で・・・それでいて、作者はそれらの人間の弱さを愛おしく見つめているのを感じる。
 今朝はけっこう涼しい。9月初っ端の土日。おまけの夏休み。
 次男が帰ってきてから家族4人がそろって落ち着いた食事をすることもほとんどなかった。皆それぞれに忙しい。今夜は例の我が家のお気に入り、プロバンスでフランス料理としゃれ込むことにした。楽しみだ。
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2007/8/29  18:04 | 投稿者: 益子

 旅行の時、新幹線の時間が長いので本を1冊持っていった。吉村昭の「夜明けの雷鳴」。医師、高松凌雲の伝記小説。明治維新前後の日本の夜明け時代に、徳川慶喜の弟、昭武の随行医してパリの万国博覧会にいき、医学の精神を学び、旧幕臣として箱館戦争で敵味方の区別なく治療を行い、その後は、町医者をしながら貧富や身分の差なく、誰にも、最善の医療を尽くそうと、同愛社の設立に尽力するという博愛と義の医師の話。お医者さんというのはこういう人でなくちゃあ!こういう人に惚れこんで、こんなに歴史に忠実な小説書いちゃう、吉村昭という人も、頑固一徹、そして本当の優しさを持った強い人なんだろうなあ!医師たるもの哲学がなくっちゃね。理系が得意で偏差値が高い・・・なんてことじゃんなくてさあ。日本の明治維新ってなんとなく、あんまり好きじゃなかったんだけれど、国が変わろうとする時、やっぱりとっても能力のある、気骨のある人達っていうのが多く居たんだろうね。それは、幕府側にも、新政府側にもね。
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2007/8/25  20:24 | 投稿者: 益子

 吉村昭の羆嵐(くまあらし)を読んだ。怖かった。大正4年に北海道でヒグマが村人を襲い6人もの犠牲者がでた実話をもとにした小説。
 北海道の大自然と自然の猛威の中でなす術のない人間たち・・・ハラハラしながらもいつかこのヒグマは銀四郎という熊打ち名人の手によってしとめられるはずだという期待を持ってぐいぐいと読み進んだ。
 大正4年。北海道の山奥でひっそり暮らしている人びとの生活は縄文時代の人たちとどの程度ちがうのだろうか・・・と思えるほど厳しく、貧しいものだ。そんな村人の家を冬眠しそこねた巨大な羆が襲い、人間を食べる・・・羆を退治しようとする村人たちや救援に集まった他の村の人たち、警察の人たちなどの人間模様が淡々と描かれていく。羆をしとめた後、供養のためだといって隣人や家族を食べたその羆の肉を食べる村人たち・・・初めからおわりまですさまじい話だった。
 感想文を書くとしたら「日本のつい最近までの悲しいまでの貧しさ」「生きていくということ」「自然」そんな言葉が浮かんでくるのかなあ。
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2007/8/24  11:17 | 投稿者: 益子

 永井路子の「歴史をさわがせた女たち」を読んだ。なんとなくタイトルにひかれて購入。すごく歴史好きということでもないが、歴史上の人物たちのお人柄などには興味がある方なのかな。瀬戸内さんも似たような本を書いていたけれど、永井さんの方がぐっと軽い感じだ。一人分が文庫本で10ページ前後。古代から江戸時代程度までの30数名の女たちのことが書かれている。新装版2003年とある。元はいつ書いたのか?ところどころに2003年の注釈があり、「当時はこれが一般的な学説だったが、その後、・・・と変わって」などと書いてあり、その一言でこの話はまったく意味ないじゃんというようなものもあった。
 夏の暑いときには軽い本がよい。城山さんの「指揮官たちの特攻」を買ってあるが・・もう少し涼しくなってから読もうと思う。
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2007/8/21  19:25 | 投稿者: 益子

 大阪に行く新幹線の中で読みやすい本をということで城山三郎の「打たれ強く生きる」を読んだ。新聞に連載されていたビジネスマン向きのエッセイ集。一編が短く、且つなんらかのメッセージが含まれているから、なるほど、なるほどと面白くすぐに読めてしまった。大阪にいる間に読み終えたので社会人一年生の息子にプレゼント。息子がどんな仕事をしていくか知らないが、なんらかのポリシーをもって貫いていくような強さを持ちつつ人の輪を大切にしていけるといいなあ・・・
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2007/8/14  17:30 | 投稿者: 益子

 昨日の本と同じ時に「城山三郎が娘に語った戦争」というものも購入。、作者は娘さんの井上紀子となっているが、書いたものではなく彼女へのインタビューをまとめたものらしい。娘さんが語る「父:城山三郎」はとても面白く、短い本ではあるが一気に読んでしまった。
 特に戦争のことだけでなく、城山さんの人となりを感じさせるいろいろな思い出話だ。特に、先立たれてしまった奥様への想い、御夫婦の愛には胸に詰まるものがある。
 母の通院に付き合って街まで出たのでついでにまた書店により、彼の作品を2冊仕入れてきた。
 吉村昭も城山三郎も昭和2年生まれだそうだ。この二人のおじいさんに惚れてしまったようだ。
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