(
前回の続きです)
そう。
「レントゲンさえ撮れば疑惑が晴れる」そう思って泣きたいのを我慢してダウンタウンの結核予防センターへたどり着きました。
その地域はいわゆる都会のドーナツ化現象で
荒れた地域。貧しい人たちがそこここに
たむろしています。事前にオットに注意されたこともあり車の
ロックをしっかりして、駐車場から
一直線に病院の玄関へ。中にいる患者さんたちも私たちの住む地域では見掛けないようなタイプの人たちでした。
びくびくしながら順番を待ち、レントゲンを撮られたフー。
レントゲンの技師は「綺麗な肺だねー
パーフェクトだ。」と言いました。そこで私は「つまり結核
ではないんですね?」と確認しようとしましたが「いや、ボクは医者じゃないから何も言えない」と
逃げられてしまいました。
そして、出来たX線写真を持って個室に入ります。
(余談ですが今までにかかったこちらの病院では(10軒未満ですが)診察室は全て個室でした。プライバシー保護の関係でしょうね。)
いよいよ
医者と対面。
南アジア系の外見と訛りを持つその医者は部屋に入るなり、
「あなたの娘は結核に感染しているようなので薬を今日から毎日、9ヶ月間飲ませなさい」と言ったのです。
どういうことなのか?レントゲンはパーフェクトじゃなかったのか?私は血相を変えていたと思います。
「娘が結核に感染するような心当たりなど何もない、それは日本でワクチンを受けたからだ」
ようやくそう言うと医者はちょっと小馬鹿にしたようにワクチンの接種歴をちらりと見て、
「ワクチンがそんなに何年も有効だなんてことはありえない。1年や2年ならともかくね。(注:この医者の認識は間違いです)この子は結核に感染している。今は肺に何も写っていないけれど3ヶ月もしたら症状が出てくるかもしれない。その前に抑えるんだ。大体母親が何故『子どもが結核に感染する心当たりがない』などと言える?子どもは学校で結核をもらって来たかもしれないんだぞ。」
この時点で私はかなり
腹を立てていました。日本は曲がりなりにも先進国です。確かに別のタイプの結核が問題になったりして、
先進国なのに結核汚染地域と思われてはいるらしいけれど。でももしも学校でそんなことが起これば
大ニュースになります。少なくとも親が知らないうちにあたりまえのように
学校で結核をもらってくる、なんてことは
ありえません。
必死になってボロボロの英語で説明を試みると、その医者は、らちがあかないと思ったのか電話回線上で呼び出せる
日本人の通訳を呼びました。
以下は通訳さんを交えてのやりとり。
通訳さん「…というわけで、ドクターはこのようにおっしゃっていますが?」
私「承知しています。でもドクターのおっしゃっていることには納得できません。ご存じでしょう?日本の学校で子どもが結核を普通にもらってくる、なんてことはあり得ないのだと説明してください。」
(説明)…すると医者が
「この薬の費用に関しては心配しなくていい、政府が支払うからお金はかからない。」
…なんだって?
お金…?そのために私がゴネてると思ってるの?…ぷちっ…
私、キレる。
「あなた何考えてるんですか!お金だなんて!そういう問題じゃないでしょう!?娘は健康です。薬なんか飲ませたくない!」通訳さんオタオタしつつ通訳。
スミマセン
それでもめげない医者は
「日本では都市部に住んでいたのか?近所に結核患者は?清潔な家だったか?子どもの父親はちゃんとした仕事に就いていたか?」
と。
これにはもう私、日本語で
ブチ切れです。手がワナワナと震えました。通訳さん(日本人)もさすがにひどいというように
「もちろんです。高収入を得、良い仕事に就いて立派な家に住んでいました。」…と
私が言ってないことまで…私の代わりに憤ってくれました。(^^;)
ちなみに日本で住んでいたのは社宅です。ちゃら〜〜ん
私は次に自分で
調べたことを通訳さんに伝えました。
BCGのワクチンは数十年にわたって影響を及ぼすこともある。10mmの反応なら擬陽性のはず…
そして
「彼女はよく勉強していますよ。」と付け加えてくださいました。
医者は
「これはずいぶんCOMPLICATED(複雑)だな」などとつぶやき、そして最終宣告を下すように言いました。
「これは私が決めたことではない。政府の法律だ。それに不満があり、従えないということならこの国にいられなくなるかも知れないが?」
ついに脅しです。今の私だったら医者の
この発言を問題にして攻めることもできたかもしれません。
でもとにかくその場はどうしたら娘を守れるか、この場から逃げて作戦を練り直せるか、それだけを
必死で考えていました。そして…
(つづきます)
ブログランキングに参加しています。「続きはどうなる!?」と手に汗握ってくださったら、どうかクリックで応援よろしくお願いします。

0