真夜中にもライダーが到着したり、仮眠から起き出して出発したりと、忙しい動きがあり、ボランティアスタッフも次のチェックポイントへ出かけたり、サポートへ出かけたりと、だんだんに減ってきた。スタッフたちとはカムループスのパーティで会おうと言って別れました。
翌朝目覚めると、私たち家族の他にはスタッフが1人ライダーが1人。
何やら深刻な雰囲気だったのだけど、それもそのはず、彼はここでリタイアして、サポートカーでカムループスまで送ってもらうつもりだったのに、それを誰にも伝えていなかった(?)らしく、スタッフは彼が仮眠してまた出発するのだと思いこんだのだ。だからサポートカーはもうとっくに出発してしまっていた。
我が家の車にはかろうじて人間は乗れるがこれから逆方向へ行くし、どのみち自転車を乗せる余裕はなかった。
スタッフと相談の結果彼はバスでカムループスまで帰ることになった様子。気の毒だけれど、もともとサポートを期待しないレースで、事前にそういった場合は自己責任で帰るという書類にサインもしている。仕方がない"good luck!"と言って別れる。
我々家族は掃除や片づけを手伝う。子どもたちもてきぱきとこなし、さすがに日本の小学校で「お掃除の時間」を経験しているだけある。アメリカの学校では子どもたちが教室の掃除をするなんて考えられないけれど、そういう経験ってあった方が良いような気もする。
さて。働いたご褒美に(?)レイク・ルイーズのコントロールで余った膨大な食料を全て持たされた。パンを段ボールに一箱とか、フルーツとかお徳用サイズのジャムとか…どうするんだ、これ?と思いつつ全部受け取ってしまった。
しばらくランチはこれかなー。
スタッフのA氏ともカムループスでの再会を約束して、私たちは湖へ向かう。
せっかくここまで来たのだから一つくらい有名な観光地を見よう、と。
レイク・ルイーズは、初めてその湖を発見し、故国英国へ持ち帰った探検家が、その写真の余りの美しさに偽物疑惑をかけられた、というほどの美しさだそうで、当時の国王が、愛娘の名前を与えた、とか。
駐車場からほど近く、突然目の前が開けると、そこは確かにこの世のものとは思えないようなエメラルド色にきらめく美しい湖だった。そしてその湖面の先には雪をかぶった山がそびえ立ち、まさに「にせものみたい!(爆)」
しかしその美しさも、ひしめきあう観光客の喧噪に色あせて見えた。突然日本語の大声が「はい、みなさん、こっちですよぉぉぉぉぉ。」なんて聞こえてしまうとちょっと萎える。やっぱり人が多すぎるところは敬遠しよう。
それにここでは観光用の馬たちがあまり幸せそうには見えなかった。毎日ちゃんと馬具を外してもらっているのだろうか。きちんとブラシをかけてもらったり、蹄の手入れをされていると思えない姿だった。あんな湿気の多い地面は体に悪くないのだろうか。ちょっと暗い気持ちになってレイク・ルイーズを後にした。
Castle Junctionを通ってBanffへ。ここで数年来のネット仲間S氏との待ち合わせがある。その前にオットの着替えを調達しなければならない。なんと言っても本人は「完走する!」と豪語していたし、気持ちの上でも、途中に着替えを送ったり私たちに着替えを運ばせることはできなかったらしく、ジャージ一丁!である。ピタピタのサイクルジャージと、お尻にスポンジの入ったサイクルスパッツ。これで天下の観光地、バンフを歩くのは勇気が要るに違いない。
それにしてもバンフはおしゃれな街だった。食料品の値段からして立派でびっくり。建物も凝っている…でも、ちょっと懲りすぎ…かな。ジャスパーの街とはまた雰囲気が違う。ここで、当日の宿を確保しようと四苦八苦した。観光地価格プラスシーズン価格でホテルだと1泊最低160ドルほど。しかもホテルだと融通が利かなくて、5人なら2部屋取れと言われたりもする。
ここはB&B(ベッド&ブレックファスト)を探そう、とインフォメーションセンターでリストをもらい、片っ端から電話。フォーンカードを使うので毎回、800ナンバーにかけ、暗証番号を押し、承認されてから相手の電話番号を押し…長すぎる道のり(あとからわかったけれど、いちいち電話を切らないで最後の電話番号からかけ直す方法があるらしい…知らなかった!)。
しかしどこも当日ではいっぱい、しかも5人ではもともと部屋がないところも多い。10軒を過ぎる頃から頭痛と吐き気が襲ってきた。病気柄ストレスに弱い。
何度も休んではリトライ、20数件目でやっと受け入れてくれるところが見つかった。リストではかなり下の方で「街の中心部に近いので便利」としか書かれていないところ。他のB&Bは施設や雰囲気、環境なんかを謳い文句にしているのだけど…不安にはなりつつも背に腹は代えられないのでそこを予約。
ヘトヘトになってそこへ向かった。着いてみると、そこは確かにファンシーではないけれど、清潔そうで、それなりにきちんとした民家風の建物。果たして出てきたおばあさんは親切で、いかにもベテランの雰囲気だった。部屋も可愛らしく、一泊の宿には申し分ない。疑って悪かったです。
おばあさんに、レイク・ルイーズから持ってきた大量の食料一式を使ってもらえることになり一安心。荷物を置いて、温泉に行ってみることにした。
温泉はすごい人だった。それも外からはよくわからなかったので入ってしまったけれど、まさに芋洗い状態。一人6ドル以上、というのにも驚いた。
温泉といっても、外が見える大きなベランダに作られたプールで、その水が40℃というもの。暑い日差しと熱いお湯。空気は冷たくて気持ち良いんだけど…うーん、なんかヘンな感じだー。
でもそこから見える景色は素晴らしかったです。高い山っていうのはそこにあるだけで絵になるんですね。我が家の周りには山がありません。。。
温泉を引き上げると、ゴンドラへ向かった。山から山へ壮大な景色が楽しめるという、すっかり乗る気で駅へ向かった私たちが見たものは…「大人1人21.99ドル、子供19.99ドル」!?!?!?何これ!?家族で100ドル超?
・・・とても払えませんでした。子どもたち自身も、お金の価値がきちんとわかって、毎日のお小遣いを犬のためにセーブしている身なので、この価格には呆れてしまい、誰一人「それでも乗りたい」と言うこともなく、駅を後にしました。
ホント、バンフの観光地価格には驚かされてばかりでした。
バンフの街で夕ご飯やウィンドウショッピング、散歩をご一緒したS氏曰く、「バンフは熱海だと思ってください」なるほど〜。そんな感じでした。
ここも日本人観光客でいっぱい。並んだ列にさりげなく割り込んだり、自分たちの仲間内で盛り上がって周りに迷惑がられていたり…集団になると周りが見えなくなるのかもしれませんね。
この街での一番のヒットは「石屋さん」と言っても、墓石ではありませぬ。天然石の産地であるこの土地の石を中心に化石や、宝石などの加工品が集められていました。他の街でも見たけれど、ここが一番規模が大きく、充実していた感じ。ただ、同じ製品でもやはり”バンフ価格”になっていたのは頂けないなー、と思いました。あくまでも観光地なんですね。
この日は疲れていたのか、夜、部屋に戻ってからの記憶がほとんどありません。(つづく…かもしれない)
美しいレイク・ルイーズにて。オットは着替えを送らずにリタイアしたのでジャージ姿で写ってます。
バンフの石屋さん

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