オットのロッキーマウンテンブルベ1200km(長距離自転車レース)から帰還しました。
バンクーバーから入り、ロッキーの麓、Kamloopsの街を拠点に、100名ほどのレーサーたちと同じコースを車で走りました。
1200kmを90時間で走るグループと84時間の先鋭グループがあり、オットは90時間のコース。夜10時の出発。
出発までには日本から着いた自転車仲間たちと一緒にスーパーマーケットへ食料の買い出しに行ったり、プールやジャグージで遊んだり。すっかりリラックスしました。走る人たちもそれぞれの食事や装備のやり方があり、完全部外者の私には、ただ興味深くうつりました。
スタート当日、朝から車検。ランプや空気入れなど、基本的な身を守るための装備を厳しくチェックされます。もしもこの車検に引っかかったら街を走り回って、装備を調達しなくてはなりません。
日本からの3人とウチのオットは難なく通過。
ここで何人かの顔見知りができ、中でも日本勢と並んでまったく英語を話さないイタリア人のDさんにはちょっと親近感。
日本勢もそうだけど、まったくコトバがわからない状態で、こういったある意味危険なレースに参加するのは、勇気ある行動なのか、無謀なのか、微妙なところです。
ともあれ、夜の10時。簡単な説明の後、50台近い自転車が真っ暗な中を赤いテールランプを光らせて一斉にスタートする姿は壮観でした。そして数十分後、コースを先回りして山の麓で待つと…寒い…!オットの装備はここまでの寒さを計算に入れていません。案の定、かなり辛そうな姿で通りかかりました。
心配するも、どうすることもできず、私たちはカムループスのホテルへ。
朝4時には84時間グループの出発がありましたが、私たちは眠気には勝てませんでした。
朝9時。カムループスをチェックアウトして、一路Jasperを目指します。
100km先の第一チェックポイントClear Waterは既に閉鎖され、人の姿はなし。
第二チェックポイントのBlue River直前で最後尾の自転車を見つけました。
応援しつつコントロールにたどり着くと、そこには”日本最速の男”Iさんの姿がありました。さすがに速い!
そして参加者一覧の成績表を見に行くと…オットがかなり厳しい状況にあるのがわかりました。1時間半ほど前にここのチェックポイントにたどり着いているものの、90時間グループの中ではほとんど最後に近い位置。
慌てて追いかけると、しばらくの後、果たしてオットの姿を捉えました。
このときは既に暑さでもうろうとしていたようです。前夜の寒さで筋肉が固まり、その後急激な暑さで体調を崩しきっていました。
でも、公式チェックポイント(コントロールセンター)以外での補給はルール違反で、何もしてあげることはできません。
後ろ髪を引かれつつ、次のコントロール、Tete Jaune Cacheへ。
このコントロールではレーサーたちが休憩を取れるよう、モーテルの2部屋があてられていました。
この時点でリタイアが一人。ドキドキしながらスタッフに「リタイアした人の名前、わかりますか?」と訊くと、にっこりと「わかるわよ。それ、うちの夫なの。」。。。。なんと言って良いものやら。
とにかく、うちのオットはまだ走り続けている様子。
川の水で足を冷やしておしゃべりしたり犬と遊びながら2時間ほど待つ。
そこで泊ることもできたけれど、まったく何もないところで、ちょっと寂しい。
それにここでメモを残して次まで引っ張った方が気力保持に良いかもしれない。
…ということで、家族みんなでオットにメッセージを残し、いよいよロッキーマウンテン観光のメッカ、ジャスパーへ。
途中のゲートで、42ドル払う。国立公園内に滞在するだけでお金がかかるなんて知らなくてびっくり。ともあれ、モーゼレイクをはじめ、数々の湖や山の作り上げる圧倒的な景観の中を進む。
もう先頭集団には車でも追いつけない。ぽつぽつと参加者たちを追い越しながら、自転車のスピードに驚嘆する。下り坂では時速80kmほどにもなるそうです。
ジャスパーに着いた時は既に夕方、地元の教会を使わせてもらっているコントロールでは速い人たちが仮眠している。いや、それどころかもう何時間も前に出発しているらしき人たちも…。
スタート時に一緒だったプードルちゃんもちゃっかり先に着いていた。
オットを含む日本勢の到着までに泊まるところを探さねば、ということで、まず街のインフォメーションセンターへ。
この街は観光時だけあって、土産物を扱う店はもちろん、何気ない個人の住居まで、凝りに凝って美しい。
インフォメーションセンターも石造りで、風景にとけ込んでいる。
応対してくれた、いかにもベテランのおじいさんに、とにかく安く泊まりたいと言うと、いろいろなオプションを見せながらも個人経営の宿とキャンプ場を奨めてくれた。
キャンプと聞いた途端、子どもたちの目がすわる。
ああ、彼らは3度のメシよりキャンプが好きなのだ。
テントもないストーブもない、食器もロクにない、でもアウトドアショップで借りられる、というので決心、その店に向かい、テントを借りてキャンプ場へ。
キャンプ場のゲートで怖ろしいことを聞いてしまった。
「クマには充分気を付けてね。食べ物は絶対に外へ置かないこと。今日は5頭も出て、1頭は人の食べ物を狙うようになっていたから射殺しなければならなかったのよ。」
な、な、な、なんですと!?
相当にビビリまくりました。とにかく牛乳の1滴もこぼさないように細心の注意をはらいました。
夜中に再びコントロールを覗きに。日本最速の男Iさんはとっくに出発、イタリアのDも速い、そして同じ州から参加のBがそこで休んでいた。あとの日本人は未到着。私も子どもたちも疲れて限界だったのでメモを残してキャンプ場へ戻った。(つづく)

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