ヤマタより愛を込めて

「か、薫ちゃん、これはね……」
その場を切り抜けようとする言葉は、しかし途中で固まってしまった。
薫の目からこぼれる涙を見てしまったからだ。
「ご……ごめんなさいっ！」
薫に伸ばそうとした手は、けれど途中で動きを止める。
もし拒否されたら。
恐怖が紫穂をすくませる。
「ごめんなさい。私……私……」

「あ、あら……っ、もうお目覚め？」
自分自身と薫の快感をいっぺんに味わっていた紫穂の方が、回復に時間がかかったのだ。
薫は紫穂よりも早く目覚めて、怒りと屈辱と、それから羞恥を味わっていたところだったのである。
「紫穂……っ、あたし……あたしは……っ」
激発しそうな薫に向かって、紫穂は作り笑いを浮かべかけたのだが……。

しばらくは呼吸さえ止まっていた。
自分が再び呼吸していることに気付いたのはさらにしばらく経ってから。
真っ白に露出オーバーした世界に、徐々にディテールが戻ってくる。
「はぁ……はぁ……、一瞬、死んだかと思っちゃった」
ゆっくり顔を上げると、柳眉を逆立てた薫がにらんでいた。
「紫穂ぉぉ……っ」

薫が自分を求めている。
それが紫穂を支えた。
ともすれば絶頂に流されそうになる身体を懸命に励まして、舌を、指を動かす。
「あ、紫穂……っ、あたし……あ、あ……っ」
薫の快感が最後の一段を踏み越える。
「――――っ！　ああーーーーーーーーっ！」
熱い飛沫が紫穂の顔に飛び散る。
絶頂の奔流がふたりの少女を押し流した。

「紫穂……こら……だめ……あ、あ……っ、ああっ」
「薫ちゃん……っ、かお……るちゃ……っ」
本来の愛液の味だけでない、精神感応者だけが味わえる甘い官能的な愛液の味が紫穂を蕩かしていく。
薫の手はいつの間にか、紫穂の頭を自身の股間により強く押しつけていた。
薫ちゃんがもっと欲しがってる……！

薫の快感がフラッシュのように閃くたびに、紫穂の快感の中枢も反応する。
自分自身の快楽が薫の快感と重なる。
混ざり合う。
爆発する。
「……っ、はう、う！」
舐め続けていられないほどの快感。
このままイってしまいそう。
もう愛液はショーツから滴るほどに溢れている。
でも、まだ。
もうちょっと……。
もうちょっとだけ。

露わにするにしても、もっと別のかたちで。
そんな風に思っていたはずなのに。
「紫穂……っ、あっ、やっ、ああんっ！」
弱々しく押しのけようとする親友の手を振り払って、紫穂は薫の快感の中心を貪り続ける。
亀裂の内側の襞を。
その内側にある小さな孔を。
舌全体で味わう。
舌先でこじる。
溢れる愛液をその快感と共にすする。