ヤマタより愛を込めて

そうだ、あれが精液。
そして……こうして薫の手の中で硬く脈動しているものは本来……。
薫の手が止まる。
この熱いおおきなものが、自分の中に挿入ってくる。
あらためてそのことが意識にのぼってきた。
これが？
こんなに大きいのに。
でも、葵はたぶんこれを受け入れていた。
皆本の言葉通りなら、紫穂も。
信じられない。

「か、薫……」
「気持ちいいんだよね、皆本」
自分の手で皆本が快感を得ているのがうれしい。
ずっとこうしていたくなる。
でもいずれ、もっともっと気持ちよくなったら……。
射精するのだろうか。
ふとさっき目撃した光景が蘇った。
裸の葵と皆本。
そしていま自分が握っているものの先端から迸る白い精液……。

それよりも、もっと皆本を気持ちよくしたいと思った。
少し手の位置を降ろして幹の部分をぎゅっと握る。
「あぁ」
指がぎりぎり回りきるかどうか。
容積を増した男の大きさにため息が漏れる。
皆本の息づかいを伺いながら、ゆっくり手を動かす。
これで、気持ちよくなってくれるだろうか。
ああ、たぶん大丈夫。
だって喘ぎがあんなに可愛い。

薫はさらに手を動かしてみた。
皆本の息が小刻みに震えている。
「気持ちいい？」
かすかにうなずく皆本に笑みが浮かんだ。
ずっと年上の男なのに。
可愛い、と思ったのだ。
薫はかがみ込むような姿勢で、さらに皆本の勃起を下着越しにさすった。
熱さが手のひらに伝わってくる。
不潔感はなかった。
そして恥ずかしさも。

薫は先端のあたりは亀頭と呼ぶのだと思いだした。
長い棒状の男性の中では粘膜が露出していちばん感じやすい部分なはずだ。
そこを握ってしまったのだと気づいて、今度は手のひらで包み込むように撫でてみた。
「…………っ」
なにかをこらえるような皆本の息づかい。
それがなにか薫にも分かる。
快感。

初めて触れる男の器官の感触。
下着越しなのに、はっとするほど熱く、そして硬い。
「…………すごい……」
薫は皆本の顔を伺いつつ、触れていただけの手で、勃起を握ってみた。
「あう」
「ご、ごめんっ」
慌てて引っ込めようとする手が抑えられる。
「大丈夫。そこはちょっと敏感なだけだから」
「そ、そうなんだ」

「み、皆本……」
ティッシュで口を拭っている皆本に話しかける。
「あの……それ……」
薫の不安定な視線の先が自分の股間に注がれていることに皆本は気がついた。
「ぼ……勃起、してるん、だよね」
結局目を逸らした薫に、皆本は直接は答えず、その手を取った。
「あ」
そのまま大きく隆起した下着の前に導かれる。