ヤマタより愛を込めて

「お尻ぃぃっ、お尻すごいのぉぉーーーーーっ」
端正な顔をいっそ醜いほどにゆがめながら、紫穂は声をあげていた。
ここに至って、葵もふたりが狂気に陥ってしまったわけではないのだとわかった。
いや、これもひとつの狂気かもしれない。
淫らな快楽への欲望という狂気――。

「ああああーーーっ、あおおおーーーっ」
いや、そうではなかったのかもしれない。
「お尻ぃーーーっ、お尻があぁーーーーっ」
むしろ獣と化した自分の浅ましい姿を、葵に見せつけたかったのかもしれない。
こんなにも自分は淫らになったのだと。
女というどう猛な獣に変じたのだと。

そう感じる自分自身、きっと獣に取り憑かれているのだろう。
そしてそれを自分で食い止められない。
皆本と同じだ。抽送のたびに、強烈な衝撃と喪失感が交互に襲ってくる。
内臓を手づかみされて何度も出し入れされているみたいだった。
葵が見ていることがわかっていながら、紫穂は声を抑えられなかった。

だが一方で皆本自身、この野獣の衝動にひどく戸惑ってもいるのだった。
自分でも、いや自分では止めようのない強烈な欲望。
それが自分の身体に向かっていることがわかる。
だから紫穂はそれを受け止められた。
それどころか積極的に受け止めたいと感じていた。
この欲望に喰らい尽くされたい……！

いずれにせよ、こんな感覚は初めてだった。
相変わらずペニスを通じて皆本の愛情は伝わってくるものの、それを覆いつくさんばかりの凶暴な衝動が、ひと突きごとに叩きつけられてくる。
まるで尻穴から肉食獣に喰らわれているみたいだった。
もし感じられるのがこの獣性だけなら恐怖で悲鳴をあげていたろう。

まるで、腹の中を巨大な杭でえぐられているかのようだ。
紫穂は皆本に貫かれる衝撃にそう感じた。
膣で受け入れるのとはまるで違う。
本来つながり合うためでない器官を無理矢理セックスに使うことがこんなにも強烈だったとは。
まだ成熟したというには無理のある自分の身体のせいもあるだろう。

いやあるいは、夢中になっているとき、自分と皆本はこんなふうだったろうか？
わからない。
けれど、目の前のふたりの様子がまるで喰らい合う猛獣のように見えることだけは間違いない。
「うううぅーーーっ」
「ううーーっ」
どう猛な呻きを互いにあげながら、皆本の腰の動きが徐々に速まっていく。