第4回
枯れた枝のような老いた手がンクララの若々しい肌を撫で回す。
年経りた手の動きは、確かに巧妙で的確に隠された女の感覚を探り出す。
だが、それ以上にンクララの身体は強く、深く反応していた。
「んんっ、ああっ、はぁぁぁんっ」
老人の指が肌を這うたびに、快感が湧き水のように深奥から噴きだし、溢れてしまう。
実際に、脇腹を撫でられ、乳房をやわやわと揉まれると、陰唇の間から熱いうるみがまるで失禁のように漏れだしてくる。
その襞にも老人の指が潜り込んで、粘膜をかき回している。
「ああ、ああんっ。ああ、あああっ」
〈儀式〉のときはいつもそうなのだ。おさえようとしても仕切れないほど身体が反応し、快楽が理性を押し流してしまう。
「いいっ、気持ちいいっ。ああっ、すごく……気持ちいい……っ」
ことに、当たり前の男女の情交とかけ離れた行為であるほど……たとえばいまのように、自分の祖父よりも年寄りなのではと思うほど歳の離れた老人たちによってたかって身体中を責められるというような……快楽の炎は強く燃え上がってしまう。
ささやかな陰唇をつままれ、こよりのようによじられると、ンクララは「ひい」と悲鳴をあげた。
「それ……っ、すごいっ。ああっ、もっと、もっと……ぉ」
はしたないと知りながら、自ら求める言葉を口走ってしまう。
「もっと……女陰も、お乳も……、もっとたくさん……あああ……っ」
ンクララは自ら豊かすぎる乳房を手で支えて、老人たちに向かって突き出して見せた。すぐにしわだらけの口がむしゃぶりつく。
「ああああーーーっ」
歯のない口で、力一杯乳房を咬まれて、ンクララは大きな声をあげた。くりかえし声をあげさせられて、口を閉じている暇さえない、仰け反ったあと、振り子のようにがくんとうつむいた唇から、唾液がぽたぽたと垂れ落ちた。
美しい娘のこれ以上はない乱れぶりに、老人たちは年甲斐もなくいきり立った。それこそ何十年ぶりかの牡の興奮だった。
細く枯れた、あるいはたるみきった下半身に、久方ぶりの充血にいきり立った肉杭だけが隆々と立ち上がっている。
「ほんとにいいのかな、こんなことになってしまって」
何人かは、とうとつに降って湧いたこの状況に戸惑っているようだったが、しかし永らく忘れていた牡の感覚を取り戻したことがうれしいということにかわりはない。
だから老人のひとりが、
「いいも悪いもあるか。身分の高い娘さんがこんなになっているというのに」
そう言ってンクララの脚を思い切り開いて見せれば、身を乗り出して覗き込んでしまうのだ。
「ああ……っ」
快楽の源泉を老人たちに注視されて、ンクララは思わず目を閉じる。かすかに左右に開き始めた陰唇の間からは、白く濁った女の蜜があとから溢れだしてきているのを充分すぎるくらい自覚しているのだ。
「女がこうまでなったら、あとはどうするか」
もったいをつけて老人が続ける。その間にも指は尻の間からンクララの性器に這い込んで、膣口のあたりを指先で撫で回している。
「あっ、あっ、ああっ」
入り口を焦らされてンクララが喘ぐ。
そんなふうに入り口を弄られるのなら、はやく挿入ってきて欲しかった。節の目立つ指を、膣の中に根本まで挿入れてかき回して欲しかった。
自然、腰が挿入を求めて動いてしまう。
老人の指はすっかり愛液に濡れてしまっている。
「お前さんたちにもやるべきことはわかるじゃろう。ここまできて尻込みしていたら、男がすたるというもんだぞ」
そして長い髪をかきあげて、朱に染まった首筋にささやきかける。
「いま、儂らの魔羅をぶち込んで差し上げますからな」
老人の言葉に、ンクララはひとこえうれしそうに「ああ」と喘いだ。

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