「ひいっ」
男は私の股間にかぶりついてきた。
今度こそ食べられる。晩餐の白山羊の固まり肉みたいに歯で噛みちぎられてしまう。
男の舌がべろべろとそこを舐め回し、ずるずると吸い立て……。
しかしいつまで経っても歯は立てられなかったし、肉を引き裂かれもしなかった。
「……」
ようやく。私は男が私を食べようとしているのではないらしいと気がついた。
男はあいも変わらず、ひたすら熱中して私のその部分を舐めている。
だがその舐め方は食べ物に対するそれとはどこか違っているのだと、いま少し冷静になってみるとわかるのだ。
ぞくり。
私は寒気に似たおののきに体を震わせた。
「な……なに?」
男の舌は私の体の、私自身が思ってもいなかったところを舐めたのだ。
私の体にそんな場所があったとは。まるで腹の中を直接舐められたみたいだった。
面食らっている私をよそに、舌は二度三度と同じ部分に潜り込んで来る。
「あひ……っ、あ……っ、あっ」
おののきが繰り返し体を走り抜けていく。
震えと声が止まらない。
男の手がうちももを撫でている。そのくすぐったさにまた声が漏れてしまう。
私自身、自分で聞いたこともないような。甘える猫のような声だ。
(続くのよ)

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