「音なま」も無事終了して一段落といったところなんだが、実は今回使わせてもらったベースアンプが面白い構成だった。基本はGKのヘッドにMarkbassの箱という組み合わせ。で、ヘッドが納められているラックには、1UサイズのSonic Maximizer(BBE)が組み込まれていた。アンプを使わせてもらっている身だし(バイパススイッチも付いてなかったので)そのまま素直に使わせてもらったんだが、これがまた中々良くて・・・さすがSonic Maximizer!
これを通してアンプを鳴らすのも久しぶりだったが、改めてその威力に驚いた。このエフェクター、使い方は実に単純で簡単なんだが、その効能を他人に説明するのは恐ろしく難しい。これを通す事によって「ベースの音が埋もれずに前面に出る」「はっきりくっきりとした音になる」「芯のある音になって、弦が長持ちしているような錯覚を覚える」「音色にハリとツヤを与える」・・・どれも合っている。でもそれらが全てではない。
普通エフェクターは「弾いている本人に対してはっきりとした効果が気持ち良いし、その気持ち良い音をお客さんにも届ける」ために使う。だから、使用すると「シュワシュワ」となったり「チャカポコ」となったり「ギャァ〜ン」となったり「風呂場で鳴らしたようになる」ようなものがほとんど。しかしこのSonic Maximizerは、客席で聴いてもその効果が解りにくい。これを使っている他のベーシストのライブを観てそう思う同業者の私ですらそうだし、ましてお客さんは「ベースの音色の良し悪しを気にしている人は皆無」だろうから、推して知るべし。
とはいうものの、例外なオーディエンスの方もいる。この記事は「音なま」の翌日にほとんど下書きを完成させていたのだが、先頃Ave氏から「StingRay5改いい音してましたねぇ〜」というツイートを頂いた。彼には解ったのだ、この「Sonic Maximizer」の効果が!これはとりもなおさず「いかにAve氏が、永年に渡って私のStingRay5改の音を注意深く聴いてくれていたか」という事に他ならない・・・ある時は一緒のバンドで、ある時はお客さんとして。逆を言えば、そういう方にしか効果がわからないという事で、これは非常に嬉しい。やはりAve氏、今度また一緒に何かやりましょう(笑)
さて、それでは何のためにこの「Sonic Maximizer」があるのか。それは一にも二にも「使っている本人だけが、気持ち良く弾く事ができるようにする」ためにある。
言わば「オ◯ニー」と同じ効果が得られるエフェクターだと言い切ってしまおう。客観的に効果を感じ取っていただけたAve氏のような例は、例外中の例外なのである。
「弾いている本人以外は、効果が解りにくい」のはなぜか?思うに「普段使っているベースやアンプの本来の音色は、永年に渡ってそれを使っている人にしか解らない」せいだと思う。初めて見聞きするバンドのベーシストがこれを使っていたとしても、普段の音色を知らない以上、普通の人なら「こういう音なのね・・・」で終わってしまうだろう。まぁ私は同業者だから「やけにベースの音が立ってるな」と気が付くかも知れないが。先に触れたが、Ave氏がその効果に気が付いてくれて、私が非常に嬉しい理由はそこにあるワケだ。普段から、たくさん聴いてくれているのだよ・・・ありがとう。
仮に、普段私が使っているベースとアンプをそっくり他の同業者に渡したとする。それをライブや音合わせの時に、私自身の普段のセッティングでそのまま弾いてもらったとしても、私に聴こえて来る音は、普段実際にプレイしながら聴いている音と同じ印象にはならない。「ふ〜ん、こういう音だったんだ」というのは解っても、背後霊のようにその人の真後ろにでも立たない限りムリ。そう...例えが適切ではないかも知れないが、身近な話で言えば、自分の声を録音してみると良い。それを再生すると、妙に甲高い声に聴こえないだろうか。普段自分の頭の中で鳴り響いている声と、実際に他人が聴いている自分の声とのギャップに驚くだろう。そして、自分の頭の中に鳴り響いている自分自身の声は、自分だけにしか解らない。
こうして書き連ねておいてナンだが、別に酔っぱらっているワケでもないのに何を言いたいのか自分でも良く解らなくなってきたので(笑)結論を急ごう。
要は、これを使うと「ごちゃごちゃしたアンサンブルの中でも、自分の楽器がものスゴく良い音色で聴こえて来るので、なまら弾き易い」という事なのだ。ただ単に、その目的のためにこの「Sonic Maximizer」を使う。他に使う意味はない。他のメンバーにどう聴こえていようが、正直お客さんにどう聴こえていようが関係ない(無論、Ave氏のように気が付いてくれる分には非常に嬉しいが、ほとんど期待できない)ライブや音合わせで、他の楽器群と混ざり合った状態の中で使う事によって、初めてその絶大な効果が体感できるエフェクター、それがこの「Sonic Maximizer」なのである。従って、独りシコシコ自分の部屋でベースを鳴らす時に使っても、全く意味がない。まぁ、多少の音色の変化は付けられるから、意味がないというのもヘンだが、少なくともバッテリーや電力の消耗に見合う効果はない。
あと「どうしてベーシストに愛用者が多いのか」についても持論があるが、それはまたの機会に譲るとしよう(過去の例から言うと、譲られた機会は永遠に来ないかも知れないが)
今回使ったのは1Uサイズのモノだったが、こういう床置きのもあるようなので、ヘソクリが一定程度貯まったら是非購入したい。名称こそ「Sonic Stomp」となってはいるが、得られる効果は同じだろう。
ちなみに1Uサイズのものは、現在は全てステレオ仕様になっているようだ。現在はラインナップから消えているようだが、入出力がRCAピンになっているステレオ・オーディオ仕様のモノは、実は私もン十年前に購入して使っていた事がある。しかし現在ラインナップされているモノでも、例えば「カセットテープに記録されている、劣化した音源をパソコンに取り込む」際に使用すると、きっとあなたは我が耳を疑うに違いない。「な、なんじゃこりゃぁ〜!」・・・しかし、その効果を文字にするのは、やはり非常に難しいのだ。だから「使ってみれば解るっしょ!」と言う事で、今回はお終い。