2005/12/10
祈り 詩
ふいごのような 呼吸の波に
とりどり色の 気持ちを織って
晴れ雨くもり 朝 昼 今宵
生きることとは 息をすること
黒ばかり織る あなたを思い
静かな白を とばりに放つ
あなたの息に いつか溶け込み
苦しい夜も 終わらんことを
2005/11/25
習いごと 詩
生きることは レッスンだ
毎日通う レッスンだ
違うものを持つひとを 理解したり
誰かのささやかな 力になったり
手を握ったり
同じ景色に うっとりしたり
おいしいものを分け合って 微笑んだり
違いを越えて 架け橋を渡ると
互いの間に 虹がひろがる
そんな 習いごと
2005/11/11
絹ごし豆腐の つぶやき 詩
絹豆腐には絹豆腐の
よさがある
木綿豆腐のようにぐっとこらえてもまれて自分を保つ力はなくとも
白和えのように相手をまろやかに包む力はある
肉豆腐においてぼろぼろになってしまう身も
価値がないのではなく
できそこないなのでもなく
似合う料理に 出会っていないだけだと 思う
みんながタフを目指す世の中は
とってももったいないと 思う
2005/10/20
光 詩
隣り合うひとに あげるものがないほど
自分を愛せない日も
チベットの山頂で 雪に閉ざされた寺院で 崖に立つ修道院で
世界の平和を祈るひとがいる
心の闇に囚われる夜も
小さな傷にあえぐ昼も
絶え間なく 世界のどこかで
生きるすべてのために祈るひとがいる
そして 目の前のひとのために祈るひとがいる
町にも 村にも 森にも 海辺にも
耳を澄ませば
祈りの光が 世界を包んでいるのが見える
2005/10/15
もう一度 お祈りからはじめよう 詩
私は 確かに未熟だったから
〈大人はこの味を理解しなくてはならない、
好き嫌いを言ってはならない〉と
信じてしまった
でも
私の本当の未熟さは
「これは私の食べたいものじゃない」
と自分の味覚を信じて弁護してやれなかったことだった
ひとそれぞれに 同じものを違って味わうのだ
まわりが嬉々としてもしくは淡々と食べていても
私の生涯を支える食べ物はこれじゃない 時もある
4年は短いようだけれど それも我慢できない 時もある
今回 それを学んだ
地図のなく 人もまばらな土地を
愛する幾つかの星を頼りに 歩みまどいながら
一度に一つ 歩いてつまづいて痛みと学ぶ
足に筋力 つけばよい
そして いつか---
誰かの「ツー」に対し 胸を打つ「カー」を言ってあげられたなら
それで心穏やかに眠れるのなら
いいなと思う