2004/5/11

透明水彩で描いた夢  

 
 都会から少し離れたところで

 小さな畑と小さな花園を庭につくり

 自宅の一階を診療所にする

 段差のない玄関を靴のままあがっていただく

 風の通る大きな窓から 鳥のさえずりが聞こえる

 窓際に 小さなテーブルと2脚の椅子

 窓の外には 庭の花が見える

 深く座れる柔らかいその椅子に腰掛けてもらい

 ハーブティと小さな焼菓子をお持ちする

 私とまっすぐ向き合わなくていいように

 庭の見える窓のほうへ 腰掛けてもらう椅子も 私の椅子も

 庭の花を一輪飾った丸いテーブルをはさんで 少し斜めに置く

 角のないテーブルには白い綿麻の清楚なテーブルクロスを敷く

 窓から日が差す日もあれば 雨の日も 曇りの日もあって

 天気の話や 庭の話をして

 それから前にお会いしてからの日々 どうでしたかと聴いて

 終わりに お好きな花を庭で指差してもらって 差し上げる

 ひとり30分時間をいただいて

 次の方は さらに30分後にする

 基本的には 来た方が わたしだけの時間 と感じられるよう

 そして私も次のひとだけの時間を 尽くせるよう

 私は そんな診療を2日に一度だけ開いて

 休診日は 友人が庭を見に来たりただくつろいでいったり

  私は静かに本を読んだり庭を耕したり刺繍をしたり絵を描いたりする

  お金がなければ お金を得に出掛けなくてはならないだろうけれど

 
 精一杯力を尽くせるのがしあわせなら

 丁寧さでひとつの在り方を創り上げるというのも

 よいかなと

 気を配って 心を尽くして 寄り添うように話を聴いていくのも

 よいかなと
 

 夢のような 淡い幸せな夢です

 でもおだやかで丁寧な時間は なかなかいい薬のような気がします
 
 それから ひとの話をほんとうに聴いてくれるひとがひとりいるだけで

 生きるのは とても楽なように思います
 
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2004/3/31

「具」象  

 
 何か 運命の羽に乗って

 とても恵まれたまま 私は医師になった

 アメリカ生まれで英語のナチュラルセンスがあって

 生物がとても好きで 

 それから ただ ひとの動揺に寄り添いたかっただけ
 

 直感で医学部を選び さらに離島医を選び

 努力と上昇思考の救急病院にひとり舞い込んだ
 

 本当はずいぶん前から スムーズにはいかない未来を予見していた

 だから 後悔は本当にない

 
 仕事はなぜ するのだろう

 人と人とが 支え合うことの具象---それが仕事だと思った

 あなた梅干 わたしごまシャケ ぼく塩昆布

 持ち寄って シェアするのが 仕事

 私の仕事は

 静かに 寄り添うこと 

 私の具は梅干で シャケにはなれない

 シャケ風味の梅干

 そういうのもありだと思っていたけれど 少ししんどかった

 
 島医者の夢 2年半越しの夢

 シャケ風味が欲しい一心のこの梅干の祈りが

 通じて商品化されることを願う

 祈りの影に人(患者さん)の不幸がないことを

 もうひと重ね 祈りながら
 
 少し 休憩時間を作ります
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2004/2/22

空に あなたの名前を並べる  

 
 忘れない 忘れられない

 亡くなったあなたを

 もう 呼吸する姿を見られないあなたを
 
 
 習っても 学んでも ざるのように忘れていく私だが

 出会って 心交わったあなたのことと

 亡くなる度に星空に捧げた歌は

 不思議に ちっとも忘れない
 
 
 新しく誰かが亡くなる度に これまでに亡くした皆を

 思い出して

 やはり星空を見上げて 名を呼んでしまう
 
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2003/12/7

伝う  

 
 自分のしごとに 入魂

 入魂したいと思う

 やはり 好き

 大事だ

 愛
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2003/12/6

最中皮からの脱皮  

 
 最近自分は少しうつ気味なのだと思っていたが

 まだまだいろいろが喜ばしいし ありがたい

 ただ 自分の弱さに甘えていただけだったのだ 厳しい現実を前にして
 

 オペ室ではこの甘え 許されない

 そこにいないことも いてharmfulなことをすることも

 医術のart−芸術−は 絵手紙の美学ではない

 science−科学−に認識される ゴシック体の美学だ

 掬える=救える網を 投げかけよと

 金魚すくいの最中皮みたいな網を捨てて 掬える網を持てよと

 医の先人達も 病める人々も 私自身も

 できないと見捨てるのでなく できるまで やれるまで

 変わらぬ思いで 無言のまなざしを投げかけ続ける

 
 私は 穏やかな心篤き医師になるまで

 ぼろりんと擦れかけたり ばらりんと壊れかけたりしても

 おそらくこの 極めて熱くかつ極めて冷徹に変わらぬ希望のまなざしを

 先人と病める人と自分から この身に受け続けるのだろう

 穏やかな 祈れる心篤き医師になるまで

 
 今一度 緊張で痛む腹をくくり直さねばならない

 オペ室で 当たり前のことを叱られて ズンと胸に響いた今日

 小さな自分への哀れみはやめて脱皮にむけて唸りたいと思った
 
 
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