2005/10/20
光 詩
隣り合うひとに あげるものがないほど
自分を愛せない日も
チベットの山頂で 雪に閉ざされた寺院で 崖に立つ修道院で
世界の平和を祈るひとがいる
心の闇に囚われる夜も
小さな傷にあえぐ昼も
絶え間なく 世界のどこかで
生きるすべてのために祈るひとがいる
そして 目の前のひとのために祈るひとがいる
町にも 村にも 森にも 海辺にも
耳を澄ませば
祈りの光が 世界を包んでいるのが見える
2005/10/15
もう一度 お祈りからはじめよう 詩
私は 確かに未熟だったから
〈大人はこの味を理解しなくてはならない、
好き嫌いを言ってはならない〉と
信じてしまった
でも
私の本当の未熟さは
「これは私の食べたいものじゃない」
と自分の味覚を信じて弁護してやれなかったことだった
ひとそれぞれに 同じものを違って味わうのだ
まわりが嬉々としてもしくは淡々と食べていても
私の生涯を支える食べ物はこれじゃない 時もある
4年は短いようだけれど それも我慢できない 時もある
今回 それを学んだ
地図のなく 人もまばらな土地を
愛する幾つかの星を頼りに 歩みまどいながら
一度に一つ 歩いてつまづいて痛みと学ぶ
足に筋力 つけばよい
そして いつか---
誰かの「ツー」に対し 胸を打つ「カー」を言ってあげられたなら
それで心穏やかに眠れるのなら
いいなと思う
2005/10/11
希望と愛 詩
3週間 無言だったアボカドの種が
ふと1mm 根を伸ばし
私は生きている と言った
おみそれしました と申し上げた
お水 替えさせていただきます
アボカドは薄緑の眼をゆるめ
ああ と言った
今 根は4cm 芽は0.8mm
アボカドは生きている
2005/10/7
くず星 詩
雨のふりこめる中 想う
誰かや何かを愛することは
人間のもっとも
尊い能力である
神の愛が巨大なクリスタルなら
人間の愛はくず星のきらり きらり
それで 十分尊い
2005/10/1
弱い芽 詩
強くなりたい
簡単なことにくじけて
小さなことに怯える表面が変わらなくても
胸の奥でずっと
自分の根の成長を信じて
萎えない芽になりたい
部屋の空気を入れ替える
久々に光を浴びる
そして私は
くじける度に再生することに決めた