前の記事では,沖縄の動物たちの姿を紹介しましたが,今回は少し違った視点から…
皆さんもご存じのように,
ヤンバルクイナは1981年に発見された鳥なんですが,その分布は急速に縮小し,生息数も激減しています.
その主な原因としては,「
ダム建設などによる生息環境の破壊」,「
ノネコによる補食」,そして「
マングース(外来種)による補食」が指摘されています(詳細は
http://homepage1.nifty.com/kunigami/Yanbaru/).
この問題に対しては多くの方々が解決に向け,がんぱっています.
その一つがこれ↓

マングースは外来種ですので,根絶を目指して強力に駆除が行われています.
ちなみに餌はスルメ↓

これは倉庫の写真ですが,罠だらけです↓

現在設置されているものも多数あり,見回りだけでも大仕事です.
やんばる野生生物保護センターの皆さん…
がんばってください!!
そして,駆除だけではないんです↓

マングースは,沖縄の南部から北部(ヤンパルクイナの生息域)に向けて分布拡大中なのですが,その拡大を阻止するためのマングース進入防止柵です.高さ120cmで,沖縄を東西に横断するように設置が進められています.
なぜこの様なものが必要なのでしょうか?
答えは簡単,
マングースの根絶には時間がかかるんです!!
だから,
駆除だけに頼っているとヤンバルクイナが守れないんですね.
柵の横棒が下側にしかないのは,マングースが登りにくくするためだそうです↓

ちなみに上の写真は柵の終点部です.
マングースの分布域側に柵を折り返し,罠を設置することで,柵づたいに移動してきたマングースを捕獲するそうです↓
そして,柵の上部は金属板でツルツル…

マングースの爪が引っかからないようになっています.
さらに,さらに,ヤンバルクイナの交通事故も多いそうで…
こんな標識や↓

こんなの↓

こんなものもありました↓
交通事故に対してはこんな努力も…

上の写真は入り口ですが,横から見るとこんな感じ…

前の記事の動画は,ここで撮影させて頂きました.
しかし,この施設だけでは足りないそうで…

新たな保護施設も作られていました.
ちなみに,この施設は多くのボランティアの方々によって作られたそうです.
これは,「みんなで守ろう!ヤンバルクイナ」赤れんがキャンペーン(詳細は
http://yanbarukuina.jp/)で集められたレンガです↓
極めつけは…
ヤンバルクイナのシェルターです.
現在マングースが分布していないヤンバルクイナの生息地を,マングース&ノネコ進入防止柵で囲った聖域です.
森林の縁に沿って建っている柵が分かりますでしょうか?
近づくと…

先に紹介した柵とは高さが全く違います.
柵の下からはもちろん…

上からも進入できない構造です.

総延長2kmで,6,000万円かかったそうです.
これは野生下では絶滅した
グアムクイナの失敗事例から学んだそうです.
グアムクイナは飼育下で生息しているものの,その行動が変化してしまい,野外に戻せなくなってしまったのです.
こうした努力にも関わらず,現在の状況では10年内にヤンバルクイナが絶滅してしまう可能性も高いそうです.
うむむ…
ところで,
「
柵なんかはれるかっ!! イノシシを根絶しろっっ!!」と言われる方々には,
根絶するにも柵が必要なんだと言うことを理解して頂きたいものです.
ちなみに対馬の猪鹿逐詰でもかなりの柵を作っていたそうです.

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